決戦7
「敵、動きました!」
敵軍の動きを素早く察知した椿が報告を行う。ちなみに、まだ椿は戦場解析は行っていない。基本的に、一日に一度しか使用できないからだ。それ以上使用しようとすれば頭痛が起きて意識を失いそうになる。ここぞという時に使わなければ。
それ故、あくまで目視で敵情を把握する。
「騎兵が左右に展開、挟み撃ちする作戦のようです!」
「了解だ」
リヒターが静かに答える。敵のこの動きは想定済みだ。
「おそらく、あの騎兵達の中に槍騎士長がいる。…正直やり辛え相手だ」
「…はい」
椿は槍騎士長のひとりと思われる男の能力値を一度確認している。投槍の使い手、ロルフだ。彼の武力は90を超えていた。
(それと同程度の相手がいるとなれば…厳しい戦いになる)
「だが、あんたらがいてくれりゃあ何とかなる。…そうだろ?」
「おうよ。任せてくだせえ」
リヒターの背後に控えていた竜兵分隊長、ズメイが応答する。
「…ま、槍騎士長だかなんだか知らないけどボクに任せてよ」
椿の横にいたハティもそう答えた。
そして椿もリヒターへと顔を向け…無言で頷いた。
「ようし、それじゃあ…槍騎士長をぶっ倒すとするか」
リヒターはあくまで気だるげに、やる気なさげに…号令を発した。




