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決戦間近2
スルズの町西方の平野。そこにグロスモント軍の本営は設営されていた。グロスモント軍の兵たちはスルズの町で休息を取る事もあるが、基本的にはこの本営周辺に天幕を張り暮らしている。スルズの町の宿屋では彼ら全員を収容する事ができないからだ。
現在、大天幕の中にグロスモント軍の主要メンバーが集結していた。
「状況を説明する」
グロスモント軍司令官、オスカー、グロスモントが一同を見回す。彼の前には机、その上には北統王国、聖王国、大公国、そして帝国の一部が描かれた地図が置かれていた。
「貴公らも大方の状況は把握しているだろうが、改めて現状を共有しておこう。現在、多数の帝国軍が北統王国へ入り北統王国軍と合流、南下を始めている」
そう言って、オスカーは北統王国の首都、王都を指差した。
「敵軍の司令官は、精鋭槍騎兵総司令官ハインツ・フォン・アイヒホルン…大将軍に次ぐ実力を持つと言われている上将軍だ。はっきりと言えば、今までの戦いで相対してきた北統王国軍とは、規模の兵の精強さも…指揮官の能力も、桁違いと言っていいだろう」




