決戦間近
グロスモント軍は、北統王国でも第二の人口を誇る大都市、商業都市スルズに駐屯していた。
敵国の人間でありながら、スルズでの彼らの評判はすこぶる良い。
その理由としては、まず第一にグロスモント軍は極めて規律正しい集団であるという事が挙げられるだろう。敵地だからと言って略奪は行わず、住民に対しても横柄な態度を取る事はない。むしろ、北統王国の貴族などよりよっぽどスルズの住民たちを尊重していた。
第二の理由は、彼らの金払いが極めていい事だ。何か軍需物資を購入する際は、必ず現金、もしくは貴金属、宝石など価値のあるもので支払いを行う。例えば、ツケで後払い…などという事は決してしない。それができるのは、グロスモント軍には潤沢な資金があるからだ。その資金とは、巨大要塞でラジモフたち要塞の高官が密貿易商人たちと結託してため込んでいた金だ。ラジモフも、回り回ってこんな場所で自らの金が使われる事になるとは思ってもいなかっただろう。
さらに第三の理由として、元々北統王国の上層部は国民に人気がなかったという事も挙げられる。農民や商人といった庶民派、北統王国の政策に嫌気がさしていた。クヌートン男爵が反乱を起こす事ができたのもそういった農民を動員する事ができたからだ。つまり、北統王国の人々は内心では北統王国に代わる新たな統治者を待望していたのだ。




