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アイヒホルン23

 3人を残してからしばらく後。クヌートンは後方から近付いてくる騎馬の音に気がついた。


(敵を倒して合流して来たか?)


 クヌートンはてっきり、残してきた3人が敵の騎士を打ち倒して自分を追いかけてきたのだと思った。残してきたのはそれなりに腕の立つ人間だったし、何より3対1だ。クヌートンは振り返る。そこには、自分を追ってきた3名の味方がいる…はずだった。しかし、自分を追いかけて来ているのは、僅か一騎。しかも、味方では…ない。


「なっ…!?」


 追いかけてきていたのは、先ほど後ろから迫ってきていた敵の騎士だ。


(まさか、3人がやられたのか?)


 3対1の状況で負けるとはにわかに信じ難かった。しかも、もう追ってきたという事は残してきた3人はまともな足止めすら出来ず敵の騎士に討ち取られたという事だろう。


(ちいっ…これは相当の手練れだな…)


 クヌートンはそう判断し、考えを巡らせる。


(逃げるか?…いや、向こうの方が馬術が巧みだ。いずれ追いつかれるだろう。では、足止めに何人か残すか?…いや、それでは先ほどの繰り返しだ)


 そしてクヌートンは決断した。


「全員、止まれ!ここであの騎士を迎え撃つぞ!」


 クヌートンの決断、それは残る7名の部下と自分…合わせて8人で敵を迎え撃つというものだった。ここで全力を用いて追っ手を叩き潰しておかなければ不味い事になる。そう直感したのだ。

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