ハットランド会戦12
ハティが椿たちの元へと戻った時には、エレオノール隊の戦闘は終わっていた。
先ほどまで交戦していた敵部隊は武器を手放し、その指揮官であるハンヌも馬から降り頭を俯かせている。彼らはエレオノール隊に降伏したのだ。
死を覚悟していたハンヌが、何故降伏という選択肢を選んだのか。それは、戦いの最中に投槍による邪魔が入ったためだ。もし邪魔が入らなければ、ハンヌはあの時点で負けていた。それ故に、彼は潔く負けを認めたのだ。
戦場において卑怯などという言葉は存在しない。だが、それぞれが胸に抱く矜持というのもは存在する。ハンヌは、その矜持に従った。
「…某は降伏する。部下の命だけは助けて欲しい」
「勿論です。あなた自身も含め、降伏した者の身の安全は保障します」
エレオノールは、降伏したハンヌに対し礼を持って接した。その様子を見て周囲の北統王国兵士も完全に戦う意欲を失った。大将が逃げ出し、最も優秀な指揮官であるハンヌの降伏したとあっては、これ以上戦う理由はない。
中央が戦う意思を失った以上、右翼や左翼もじきに降伏するだろう。ハットランド会戦は、グロスモント軍の勝利で終わる事になりそうだ。
(あとは、オスカーさんが敵の大将を捕らえる事ができたかどうかだけど…)
椿がそんな事を考えていると、伝令兵が駆けてきた。そして、椿の待ち望んでいた報告を告げる。
「グロスモント卿より、エレオノール隊への伝令をお伝えします!敵大将、カルマル将軍を捕らえました!」




