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進行準備19

 束の間の食事会は終わり、エマ、ハティ、ロランはそれぞれの部屋に帰っていった。


(エレナやロランさんに喜んでもらえて良かった…)


 椿は、部屋の窓から夜空を見上げつつ…プレゼントを喜んでもらえた事にほっと胸を撫で下ろす。とはいえ、


(これでホフマンさんもいたらもった良かったんだけど)


 とも思わないでもない。実はホフマンも誘おうと思ったのだが、どうしても見つける事ができなかったのだ。


(でも…また機会はある)


 今回ホフマンと一緒に祝えなかったのなら、また別の機会を設ければいい。そして、そのためには生きて帰らないといけない。そう、生きてさえいればまた楽しい時間を過ごす事ができるのだ。死ねばそれは叶わない。そんな当たり前の事を改めて胸に刻む。


「何がなんでも今回の遠征は成功させないと」


 いつの間にか、小さく呟いていた。それとほぼ同時に、部屋の扉が開く。食事の後風呂に入っていたエレオノールが入浴から帰ってきたのだ。


「ツバキ、まだ起きていたのかい?明日は早いよ」


 現在はまだ夜更けというような時間ではない。しかし、明日の出発は早い。空が白み始めた頃に出発する予定だ。となれば、出発の準備をするためにまだ外が暗いうちに起床しなければならない。そろそろ寝ておいた方が良い時間だろう。


「うん、もう寝るよ」


 そう答える椿だったが、窓際に立ったまま動かない。そんな椿の事を少し不思議そうに見ながら、エレオノールは自分の髪を布で拭く。


 椿は、悩んでいた。エステルに言われた『彼女のおすすめするプレゼント』を渡すか否かを。それが本当に喜んでもらえるかどうか、正直な所半信半疑だった。だが、エステルが嘘をつくとも思えない。いや、彼女の事だから冗談で言った可能性も否定はできないが…少なくとも椿はエステルの事を信じていた。


 悩んでいるうちに、エレオノールは髪を拭き終えていた。後は寝るだけだ。しかし、椿はまだ動かない。


「…?どうしたんだい?何か悩みがあるなら聞くよ。もし今回の戦いに従軍するのが辛いならここに残っても…」


「う、ううん…そうじゃなくて…」


 心配そうなエレオノールの表情を見て、椿は意を決した。エレオノールのためにやる事なのに、それで悩んで心配させてしまうなど本末転倒だ。一度自分を落ち着かせるように深呼吸して…それからゆっくりと口を開く。


「あ、あの…エレナが嫌じゃなかったら、今日は同じベッドで寝させてもらってもいいかな…?」

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