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新司令官30

 オスカー・グロスモントは、エレオノール隊がこちらへ近付いてくるのを確認すると隊員たちに攻勢に出るよう命じた。


「さあ、貴公らが鍛えた武勇を今こそ示す時――行くぞ!」


 オスカー自身が先頭に立ち、騎馬を駆りジラドルフ隊へと突入する。そして両手剣ツヴァイヘンダーで敵を薙ぎ払う。グロスモント隊は隊長の熱気に煽られるように、ジラドルフ隊へと攻めかかった。防御に徹していたジラドルフ隊も怯む程の勢いだ。


 その報告はジラドルフの元に届く。


「ジラドルフ将軍!前線が押されています!」


 兵からの報告。続いて、側近がジラドルフの顔を伺うように問いかける。


「し、将軍…どうされますか?」


 ジラドルフはしばし黙り込んだ。当初の作戦を貫くならば、ここは前線に兵を送り防御を固めるべきだ。そうすればいつか敵は疲れ勢いは落ちる。


(だが、それでは勝てん…)


 敵の勢いが落ちたとしても、それまでにこちらの兵士の数が削られてしまう。つまり、敵が疲弊する代わりにこちらは兵数が減少するという事だ。それだけでは戦いは有利にはならない。敵が疲弊した所にパウル隊が側面から攻撃してこそ勝利を得られたのだ。だが、そのパウル隊がこちらの援護に来る事はなくなった。


(…かと言って、後方のバウテン上将軍ハイ・ジェネラルの兵が到着するまで粘った所でこちらが有利になる訳ではない)


 後方にいるバウテンの2万を待っていては、今度は巨大要塞フルングニル軍が到着するだろう。巨大要塞フルングニル軍はおそらく3万近い軍勢だ。数的な有利を得る事はできない。


(となれば…腹をくくるしかないのぅ)


 ジラドルフは決心を固めた。ここでこれ以上迷っていても状況が好転する事はない。


「打って出るぞ!」


 今ならグロスモント隊とジラドルフ隊の兵数はほぼ互角。真っ向勝負を挑めば十分に勝機はあるはずだ。


 作戦が破綻したのであれば、最後は力と力の勝負に持ち込むのみ――そして、ネジカ・ジラドルフはむしろそういった局面でこそ力を発揮する将軍だった。

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