新司令官19
エレオノール隊の当初の作戦は、こうだ。
頑強な重装歩兵隊を横に広く配置し、その後方に弓兵隊を置き援護させる。さらにその後方及び左右には軽装歩兵隊を配置し、前線の重装歩兵隊に穴が空いた場合の援護や敵の包囲にへの対処を行う。そして騎馬隊は遊撃部隊として臨機応変に動き、隙があれば攻め入り逆に押されている場所があればそこの救援に向かう…というものだ。
堅実な作戦と言えた。もし同数の敵が相手であればかなりの確率で勝利を収める事ができるだろう。しかし、相手は自軍の三倍だ。勝機がないとまでは言わないが、厳しい戦いになるだろう。
そこで、椿の策により少しばかり配置を変更した。エレオノール隊に所属する騎馬部隊…すなわち、エレオノール直下の七百騎とホフマン配下の三百騎を軽装歩兵隊の後方に下がらせたのだ。これは、騎馬隊の位置を敵から隠すのが目的だ。
「重装歩兵隊、槍構え!背後や左右は自軍が守ってくれています!正面の敵に全身全霊で当たるように!」
ボゥの号令で重装歩兵隊が槍を構えた。ついにパウル隊とエレオノール隊が接触する。
「弓兵隊!構えて――今!」
エマの号令で弓兵隊も射撃を開始。流石に両部隊共練度が高い。重装歩兵隊はパウル隊の攻勢にも揺るがず、弓兵隊の放つ矢は確実に敵を射止めている。
「パウル将軍!」
後方で指揮を取るパウルの元に伝令が向かう。
「我が隊の先鋒は攻めきれないでいる模様です」
報告を聞き、パウルは自身の髭を撫でた。
「なるほど、巨大要塞から単独で飛び出してきただけあって精鋭部隊という事かい。だがまあ…問題はない」
数の差があったとしても、兵の練度と指揮官の能力が高ければ一定の時間は持ちこたえる事ができる。しかし、それはパウルも想定の内だ。
「押せ。押して押して押しまくれい。しょせん、数には勝てんさ」




