新司令官13
「ほう、敵がこちらへ向かってきたか…」
そう呟いたパウルだったが、三千程度の敵兵が南方から近付いている事についてはしばらく前から承知していた。だが、所詮は三千。戦況に大した影響は与えないだろうと踏んでいたのだ。
「しかし、まさか我が隊に戦いを挑んでくるとはなぁ」
「どうやら、敵軍三万と我が隊の間に割って入るつもりのようですね。いかがしましょう」
「三割程度の兵力の敵に小細工は必要あるまい…と言うより、下手に策を弄して時間を浪費する方が惜しい。このまま前進、敵と接触次第正面から叩き潰す!」
「はっ!」
パウル隊の南方、数百メートルの地点にその部隊はいた。三千名の聖王国からなる部隊…すなわち、エレオノール隊だ。
「やっと追いついたね」
椿は、隊の先頭を進むエレオノールに声をかける。
「そうだね。グロスモント卿の噂は聞いていたけれど、ここまでの進軍速度とは…」
そう答えたエレオノールだったが、それでも追いつく事が出来たのはエレオノール隊だからこそだ。何しろ、他の巨大要塞軍は遥か後方にいるのだ。
「だが、ちょうどいいタイミングで追いつくことが出来たと言えるかもしれない」
エレオノールは前方の敵部隊に視線を向ける。椿もそれを目で追った。
「敵の数は一万。私たちの隊の三倍以上だ。けれどこの部隊を食い止める事ができればグロスモント卿は敵主力と全力で戦える。――私たちで敵右翼部隊を食い止めよう」
「うん」




