新司令官
巨大要塞、城館内にある司令官室には、巨大要塞司令官代理であるエステルおよび巨大要塞の幹部たちが集まっていた。その中にはエレオノールと椿の姿も見える。
聖王国軍が巨大要塞を攻略してからすでに一月近く経つ。その間に、要塞内の状況は大きく変わっていた。
まず、かつての北部要塞司令官、ヒーマンと副司令官のレホトネンは自ら辞職し聖都へと帰ってしまったという事。これにより、名実ともにエステルが巨大要塞のトップとなった。もっとも、これは新たな司令官が着任するまでの一時的な地位ではあるが。
続いて、エレオノール隊の増員も行われた。エレオノール隊は千人隊から三千人隊にまで人員を増やしている。これはエステルの指示によるものだ。可能ならばもっと大幅な増員を行いたい所だったが、むやみやたらと増員してしまえば隊員の質が落ちてしまう。選りすぐった二千人を補充し三千人隊とする――というのが、エレオノール隊にとって最も良い増員ラインだとエステルは判断したのだ。
「さて、以前からの予定していた通り…本日、巨大要塞に新しい司令官が到着するわ」
一同を見回しながらエステルが口を開いた。
「短い間だったけど、司令官代理の私を支えてくれてありがとう。そして…これからも同じ仲間としてよろしく頼むわね」
椿たちは彼女の言葉に頷いた。エステルも微笑みを返す。
「新司令官については、あなたたちも名前を聞いた事があると思うけど…優秀な人よ。ただ、性格にちょっと難がないでもないけど…って、酒乱の私が言えた義理じゃないんだけどね~。ま、とにかく新司令官の到着を歓迎しましょう。もうそろそろ到着するはずだから、出迎えの準備をしておきましょうか」
そう言った所で、司令官室に兵が入室してきた。
「失礼いたします。新司令官殿より、司令官代理殿に伝令です」
「あら、ちょうどその話をしていた所なのよ。…聞かせて貰えるかしら?」
「はい、新司令官殿は兵3万を率いて巨大要塞の南部、2km程の地点まで近付いているとの事」
「分かったわ、ありがとう。2km地点って事はもうすぐ到着するわね」
「い、いえ、その…伝令には続きがあります。…今から巨大要塞北部にいる敵をぶっ潰しにいくので援護よろしく…との事です」




