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新戦力25

 扉の影から出てきたハティは、じっと椿を見つめる。その顔からは依然の彼女にあった張り詰めたような緊張は薄れている。少し戸惑うような仕草を見せた後、口を開いた。


「…ありがとう」


 やや俯きながら…それでも椿からは視線を外さず、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。


「お前のおかげで…ボクの弟妹かぞくは助かった。感謝、してる…みんな、温かい食事ときちんとした寝床を用意してもらって…病気のピレゥイは看病までしてもらって…みんな、笑顔になった。これもお前のおかげだ」


 そう言い切ると、顔を上げて――もう一度、「ありがとう」と感謝の言葉を述べた。


「ううん、僕は何もしてないよ」


 椿は僅かに微笑みながら答える。


「あの子たちが救われたのは、君が今まであの子たちを守ってきたから…じゃないかな」


「いや、ボクは…」


 ハティは再び俯く。


「ボクは、バカだった…と思う。どうしていいかも分からず…あんな奴らの言う事聞いて…利用されてるだけだって分かってたのに。でも、本当に…みんなを守るにはどうしたらいいのか分からなくて…」


 少女は、両手の拳をぎゅっと握った。愚かな自分に対する悔しさに憤っているように見えた。椿は、少女に歩み寄る。


「…何が正しいかなんて、誰にも分からないんじゃないかな。僕だって、いつも迷ってばかりだし…もっと力があったらって、そう思ってばかりだ。でも、君は全力を尽くして弟妹かぞくのために戦った――それは本当だと思うよ」


「でも、ボクはお前たちの事も殺そうとした。それなのに、ボクやボクの弟妹かぞくを助けて貰えて…ボクは…本当に感謝している」


 そう言って、椿の手を取りその小さな掌でぎゅっと握る。


「だから、ボクは…出来るなら、お前たちの役に立ちたい…役に立たせて欲しい…!」

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