新戦力23
「分かったよ、エレナ」
椿は、抱きしめられながら頷いた。
「僕の事を心配してくれてありがとう。自分の命をもっと大切にする。誓うよ」
本当ならひとりきりのはずのこの世界で、家族と呼んでくれる人がいる事。それは、これ以上ない程に喜ばしい事実だった。
「そうか、そう言ってもらえると…嬉しい」
エレオノールは、腕の中にいる椿の体をいっそう強く抱きしめた。
「ううん、エレナにそんなに心配してもらえるなんて…僕の方こそ、嬉しいよ」
「ちょっと待ってくださいっす!」
そう叫ぶと、エマが勢いよく駆けてきて…後ろから椿に抱き着いた。
「エ、エマ…!?」
「ツバキっちの事を大切に思ってるのはエレオノール隊長だけじゃないっすよ!自分にとっても、ツバキっちは家族なんっすから」
そう言って椿の体をぎゅうと抱きしめる。
「あ、ありがとう…エマ」
前からはエレオノール、後ろからはエマに抱きしめられる態勢に戸惑いながらも、椿は自身の心に温かい気持ちが沸き上がってくるのを感じる。
「でも、それを言うなら僕だって同じだよ」
椿は、顔を上げてエレオノールを見て…さらに振り向いて、次はエマに視線を向けた。
「僕にとってもエレナとエマは家族なんだから…ふたりも自分の事は大切にしてね」
「ああ、勿論だ」
エレオノールは微笑む。
「どのような戦場であろうと、君と共に必ず生き抜く事を約束しよう。君やエマを悲しませたくはないからね」
「自分もっす。エレオノール隊長とツバキっちをずっと支え続けるのが自分の役目っすからね!」




