新戦力22
声をかけられたエレオノールは椿に顔を向けた後、
「…」
と、無言で彼の顔を見つめた。
「エ、エレナ、どうしたの…?」
その佇まいに、椿は少しばかり圧倒される。
エレオノールはしばらく椿を見つめ続けた後…ゆっくりと口を開いた。
「ツバキ、君に話しておくべき事がある」
その声には、重々しさがあった。表情も真剣そのものだ。思わず椿の背筋が伸びる。いったいどんな話をれるのだろう、そう身構えた椿だったが…エレオノールは椿に歩み寄ると、そっと彼の後頭部に手を添えた。
「君は…無茶をしすぎだ」
「え…?」
「巨大要塞攻防戦の最終局面で身を挺して私を守ろうとしてくれた時も…つい先日、ハティを説得しようとした時も、君は無茶をしすぎている」
そう言って、椿の後頭部を優しく撫でる。
「もちろん、君なりに考えがあっての事だとは分かっている。君の事を認めていないという訳では決してない。――実際、私は君に何度も助けられているしね。その事は心から感謝している。しかし、その上で…だ」
エレオノールは椿の体を抱き寄せ、自らの胸元にその顔を埋めさせた。
「やはり、君は私のかけがえのない家族なんだ。あまり無茶はしないでくれ――と言っても、君はもしそうする必要があると思えば行動するのだろうが…せめて、君の事を大切に思っている者がいるという事は忘れないでいて欲しい」




