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新戦力12

 リヒターの示した建物は、飾り気のない一軒家だった。


(ここが…あの子の家…?)


 だとすれば、ひとまずハティの住み家は突き止めたという事になる。今日の所はこれで良しとして一旦引くか…それとももう少し様子を伺うべきか。椿が思案していると、


「…アンスバッハ隊長、ツバキ。ちょっと俺に任せてくれないか」


 リヒターがそう提案してきた。エレオノールと椿は頷く。元より、ハティの尾行についての現場指揮はリヒターに委ねている。


「じゃあ、行ってきますわ…」


 そう言い残し、リヒターは素早く建物の入り口に移動する。そしてしばらく気配を伺った後…玄関のドアを開けた。そして家の中へと姿を消す。


 その大胆な行動に、椿はいささか面食らう。しかし、リヒターは無謀な事はしない男だ。椿は彼を信じ、エレオノールと共に離れた位置から様子を伺い続けた。そしてしばらくすると、リヒターが玄関の扉から顔を出す。そして、椿達を手招きした。エレオノールと椿は互いに顔を見合わせた後、静かに、ゆっくりとリヒターに近付いた。


 椿たちは、玄関前にしゃがむ。家の中で灯されている燭台の明かりが三人を照らした。リヒターは懐から紙片を取り出すとその上に鉛筆で素早く文字を書いた。


『少女は奥の部屋で誰かと会話中。こちらに気付く可能性は薄い』


 リヒターが筆談を選んだのは、声を立てないようにするためだ。さらに続けて、


『中に入って耳を澄ましてくれ』


 と書きつける。彼の言葉通り、椿はエレオノールと共に家の中に足を踏み入れる。家の中に入ると、そこは土間だった。そして奥には扉が見える。聞き耳を立てれば…その扉の奥から話し声が聞こえる。男の声、そして…ハティの声。


 三人は会話に耳を澄ませた。

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