新戦力8
(こんな檻…破ろうと覚えば破れるんだ)
ハティは、牢の隅から小枝程の棒を取り出した。事前に見つけて隠しておいたものだ。見張りの兵士が起きないよう細心の注意を払いながら…鉄格子の間から手を伸ばし、錠前に棒を差し込む。
しばらくすると、カチャリ…という小さな音と共に錠が開く。錠開けは彼女の得意技のひとつだったが、それにしてもあっけなかった。元々この牢舎が作られたのが古く、錠前の作りが簡素だったのかもしれない。
(でも、こいつらがずっと見張ってたら開ける事もできなかったな…運がよかった)
素早く牢から走り出し、階段を登る。1階も牢になっていたが…気配を伺うと、牢に入っている人間は皆寝入っている様子だった。見張りの兵もいない。
その事が分かると、躊躇う事なく走り出す。素早く――しかし、静かに。
人の気配がする方向を避けながら出口へ向かい、建物の外へと飛び出した。
(ここは…城館の南の建物…?)
実際にその中に入った事はなかったが、外観は見知っていた。
(よし…!)
ひょっとしたら遠くまで運ばれたのかと思っていたが、城館の南ならば巨大要塞のほぼ中央部だ。ここならば…彼女は、今日中に『目的地』に辿り着く事ができるはずだった。




