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防衛の方針3

「まず、オータス二千人隊隊長、あんたには右翼を受け持ってもらうわ」


「右翼…って事は、ドラゴンですか」


 オータスは、あからさまに嫌そうな表情になった。そんな表情を読み取り、エッカルトは問いかける。


「不服?」


「いや、不服っつーか…自信ないですよ。ドラゴンの相手なんてねぇ」


 ロナルド・オータス二千人隊隊長は率直な感想を述べた。精強を誇る重装歩兵隊ですらドラゴンに崩されたのだ。自分が行った所でどうにかできるものとも思えなかった。


「もちろん、策もなしにドラゴンとぶつかれなんて言うつもりはない。対策は考えてあるわ。それは――」


 エッカルトは、オータスに策を授ける。その内容を聞き、オータスの表情も緩んだ。


「ふうん…まあ、それなら足止め程度はできる…かもしれませんね」


「分かったら、さっそく準備に取り掛かってちょうだい」


「了解。成功したら、手当て弾んでくださいよぉ」


 素早く敬礼を行うと、オータスは城壁の下へと降りていった。エッカルトは、次にスタンヴィルへ視線を向ける。


「スタンヴィル五千人隊隊長、あんたには――レプキナ将軍の代行を頼むわ」


「ええっ!?」


 スタンヴィルは驚きのあまりのけぞった。


「じ、自分が将軍の代行って…最高指揮官代理って事ですか!?」


「そうよ」


「い、いや、自分なんかには無理ですよ。っていうか、エッカルト副司令官が最高指揮官を務めるんじゃないんですか!?」


「そうしたい所だけれど、あたしは他にやるべき事があるの。最高指揮官代理は、あんたしかいない」


「む、無理ですって。敵軍の中央…あの騎兵隊に襲われたら、自分なんかじゃひとたまりもないです…」


 確かに、彼の言う事には一理あった。クリフトン・スタンヴィル五千人隊隊長は有能な指揮官ではあったが…それはあくまで『巨大要塞フルングニル軍の中では』という前提つきだ。正直、敵の騎兵隊を率いている人物――すなわち、エレオノールに比べればその能力は数段劣るだろう。


 しかし、レプキナ将軍が斃れた今となっては巨大要塞フルングニルには彼よりも有能な人物が残っていないのも確かだった。

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