城壁突入
「歩兵隊、騎馬隊、突入の準備を!」
巨大要塞からの抵抗が弱まったのを見て、エレオノールが兵たちに指示を行う。
竜の開けた穴は、すでに城壁を完全に貫きかけている。城壁を貫通次第、その穴から竜と共に歩兵隊、騎馬隊が場内になだれ込み南城門へ回る。そして内側から門を開け、北部要塞兵全てで突入する算段だ。
数度目の竜の突進。ひときわ大きな轟音が響き渡る。
「うっし!」
竜兵分隊長、ズメイ・バルトシークが歓声をあげた。
「城壁をブチ破ったぜ!隊長殿!」
「よし!工兵隊!崩落の恐れは?」
エレオノールの指示で工兵隊が城壁の穴を確認する。
「大丈夫です!城壁が崩れ落ちてくる心配はありません!」
「了解した!では、竜兵、騎兵、歩兵の順で進軍する。――突撃!」
エレオノールの号令一下、兵たちが巨大要塞へと突入する。当然、巨大要塞兵は城壁の内側で迎撃の体制を取ってはいたが…まずは先頭を進む竜になぎ倒され、続いて騎馬隊の突撃に壊乱させられ、なんとか踏みとどまった兵も歩兵隊に圧されてしまう。
エレオノール率いる千人隊は、瞬く間に城門へと達し…内側から、その扉を開いた。そして2万を超える聖王国兵が、続々と場内へと入っていく。
「ご苦労様、エレオノールちゃん。ひとまず第一の城門は突破できたわね」
エレオノールと合流したエステルが微笑んだ。
「はい、ですが…抵抗が少なすぎるのが気にかかります」
「ええ、本格的な敵軍の抵抗はこれからって所でしょうね。気を引き締めていきましょう」




