表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1109/1118

戦いの後5

「エレオノール・フォン・アンスバッハ陛下の事績について、私から述べさせていただきます。エレオノール陛下は、アンスバッハ公爵家の長女として生まれ…」


 エレオノールが今現在に至るまでの事績がホフマンの口から述べられる。皇帝の血統に生まれたエレオノールだったが、その道のりは決して平坦ではなかった。むしろその高貴な血筋ゆえに周囲からは警戒され、思うように力を発揮できない日々が長く続いた。そんな彼女の経歴を離すホフマンの瞳からは、涙が溢れ出そうとしていた。


 それは、皆と共に居並ぶエマも同様だった。常に近くでエレオノールを支えてきた2人にとって、エレオノールの努力が報われた事はこの上ない喜びだ。


 涙で声が震えないよう必死にこらえつつ、ホフマンはエレオノールの事績を言い終える。そして、最後にこう付け加えた。


「僭越ながら…私から、一言付け加えさせていただきます。エレオノール皇帝陛下は…貴い血筋の家にお生まれになりました。しかし、私が今日までエレオノール陛下にお仕えしてきたのは…その血筋のためではありません。エレオノール陛下のお優しいお人柄とその揺るぎない信念を慕い…今日までお仕えして参りました。おそらくそれは、ここにいしゃっらる方々も同様と思われます」


 ホフマンの言葉を否定する者はいなかった。ここにいる面々がエレオノールと共に歩んで来たのは、エレオノールが皇帝の血を引くからではない。その人間性に惹かれたが故だ。


「それでは引き続き、戴冠の儀に移るといたしましょう。――ツバキ・ニイミ殿…前へ」


 先ほどエレオノールがこの部屋に入ってきた際開いた扉が、再び開く。そこから姿を現したのは…王冠を手に持つ少年だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ