戦いの後3
「エステルさんやカイさん達…それにオスカーさんは…?」
「エステル殿は無事だ。グロスモント卿も、傷は深いが一命は取り留めたと聞いている。見事と言う他ない、凄まじい生命力だね。ただ、ネヴィル卿は…」
そこまで言ったその時、椿の耳に絶叫が届く。
「ツバキィィィ…!オレをツバキの所へ行かせろ…!」
「お、お待ちください、義兄上!義兄上はまともに動ける状況ではないのですよ!?どうか、ご安静に…!」
「だが、ツバキが苦しんでいるというのに傍にいる事が出来ないなど…!」
「義兄上、先ほど倒れているツバキ殿の顔を見て、ショックのあまり失神したのをお忘れですか!?とにかく、動いてはいけません…!ユーウェイン殿、サグラモール殿、どうか義兄上を抑えるのを手伝ってください…!」
隣の天幕から聞こえるそんな声に、エレオノールは苦笑する。
「ネヴィル卿はね、激戦区である中央軍団で最後まで倒れる事無く戦い続けたんだ。本当に…凄い人だ。でもね、倒れている君を見て…気を失ってしまった。ちょうど今、目を覚ましたようだけれどね。何にしても、ネヴィル卿も命には別状はないよ」
「それは…良かったです」
隣の天幕から響く絶叫を聞きながら、椿は苦笑した。




