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戦いの後

 椿は、ゆっくりと目を開けた。ヒューゴ戦の負傷と疲労のためか、体のあちこちが痛く全身が重い。しかし、それでも…目を開けた瞬間に飛び込んで来た人物を、少年は決して見間違えたりはしなかった。


「エレナ…」


「ツバキ…!」


 心配そうな表情で椿の顔を覗き込んでいたエレオノールは、椿の意識が戻ってきた事を知るとその体を抱きしめた。大切な宝物をその手に抱くように…優しく。


「良かった…」


 エレオノールの瞳から涙が零れ落ちる。


「ごめん、エレナ。心配かけて」


 椿は、まだ力の入らない手を持ち上げ、エレオノールの頭に触れる。そして、その髪をそっと撫でた。そういえば…と、椿は思う。エレオノールが涙を流している所を見るのはこれが初めてかもしれない、と。


 エレオノールは、椿からしてみればこの世界に来てから自分を常に導いてくれた人物だ。皇帝の血統であり、幼い頃から訓練を受けてきた騎士でもある。しかし同時に、彼女はただの年若い女性に過ぎない。そんな彼女が、今まで涙を零す事無く懸命に戦い続けた来た。その事実を想い…椿は、彼女の背をそっと抱きしめた。


 しばらくの間、椿とエレオノールは無言で抱き合った。そして、エレオノールが改めて告げる。


「君が無事で…本当に良かった。戦いは終わったよ。君のおかげで…私達は勝てたんだ」

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