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ツバキ・ニイミ2

「えっと…リヒターさん。ここは…?」


 椿の質問に、リヒターは答えない。ただ黙って橋の向こう側へと歩いていく。椿は足早に歩き追いつくとリヒターの隣に並んだ。


「どこに行こうとしてるんですか?」


「ユンカース隊長に会いに行こうと思ってな。あの人、いい年して寂しがり屋だからな…めんどくせーけど、相手してやんないと」


「そう…ですか。それなら、僕も」


「いいや。お前は来るんじゃない、ツバキ」


 リヒターは足を止める。椿も立ち止まり、両者は橋の上で向かい合う。


「ここでお別れだ。お前は…戻れ」


「でも、リヒターさん…」


 ふいに、椿の瞳から涙が零れた。そしてそれは一度溢れ出すと止まらない。ボロボロと涙が零れ落ちていく。そう、少年は気が付いたのだった。ヘルムート・リヒターはもうこの世にいないのだという事を。


 おそらくこれは、使用過多で暴走した解析(アナリティクス)が見せている光景。椿は今、生死の狭間…その景色を見ている。


「お前はまだ引き返せる。戻るんだ、みんなの所に」

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