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最終決戦27
攻撃を繰り出しつつ、ヒューゴは椿の様子を観察する。
(間違いない、私が攻撃を始める『前』に動いている)
ヒューゴはそう結論した。
椿は、ヒューゴの動きを見て動いている訳ではない。ヒューゴが攻撃を繰り出す直前に、すでに回避動作を取り始めている。そう、まるでヒューゴがどこに攻撃してくるか分かっているかのように――。
「何をした?」
ヒューゴのその問いに、椿は答えない。ただ剣を握りしめヒューゴと対峙している。ここでふと、ヒューゴはある事に気がついた。
(血…?)
少年の右目から血が滴り落ちている。崖から落ちた際に負傷したのかとも思ったが…どうやらそうではない。加えるならば、今の椿の呼吸は荒く、足元もふらついている。それはまるで、何か限界を超える力を行使した代償のようだ。
「もしや…スキルの力か?私の動きを呼んでいるのか?」
その言葉に、椿は頷いた。
「ヒューゴさん…今の僕には、あなたの動きが全て分かります。あなたでは、僕に勝てない」




