最終決戦22
オスカーには、もう剣を振り上げる力はない。そんな彼に向かってヒューゴの剣が振り下ろされる。しかし、オスカーはそれを避けようとはせず…ヒューゴの刃で肩を砕かれつつ、体ごとヒューゴにぶつかる。ヒューゴの乗る馬が大きく体勢を崩した。そこに右側からエレオノールの、左側から椿の剣が襲う。
だが、この状況でもヒューゴはあくまで冷静だった。エレオノールと椿の剣で肩と顔に傷を負いながらも致命傷は回避。素早く体勢を立て直し、この状況からの脱出を図る。
(駄目だ、ここで逃げられたら…!)
ここまでヒューゴを追い詰める事が出来たのは、ハティとオスカーがいたからこそだ。ここで逃げられてしまえば、もうヒューゴを追い詰める事はできないだろう。
椿は、逃げようとするヒューゴに体をぶつけエレオノールもまた追いすがる。そのような状態で数秒ほど進んだ頃、三名の視界の先に崖が現われた。崖とは言っても、さほど深くはない。元々は小さな池か何かがあって、その水が干上がって出来た窪地だろう。高さはおそらく3m程度。ヒューゴは迷わず、その崖に突っ込んだ。椿とエレオノールもまた、もつれあいながら崖の中へと落ちていく。




