1072/1118
最終決戦13
エレオノールが騎馬を引きれ、ヒューゴ軍本隊に迫る。敵はエレオノールの突撃を真っ向から受け止める構えだ。両者の距離が近付いていく。エレオノールの視線は、ただ前方…その一点だけを見つめている。いや、彼女はその視界の端に、自身の隣を進む椿の姿を捉えていた。ここまで共に歩み、支えてくれた少年が傍にいる…それだけで彼女の心中からは勇気が無限に溢れ出てくるように感じた。
そして、両軍の本隊同士がついに激突する。鎧と剣、馬と馬がぶつかり合う轟音があちこちで響き渡る。そんな中にあってもよく通る凛とした声で、エレオノールは告げた。
「ホフマン!私はヒューゴ・トラケウを目指す!周囲の敵は任せた」
「承知いたしました!」
「リッツ副長!私について来てくれ!」
「りょーかいっす!」
この戦いの勝敗は、エレオノールが倒れるかヒューゴが倒れるか…そのどちらかでしか決着はあり得ない。すなわち、エレオノールが狙うは総司令官ヒューゴただひとり。




