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最終決戦10
「マルセル隊行くぞ!」
「ルボル隊、出陣!」
マルセルとルボルの2人は、己の部下を率い前線へと向かう。その背に向かって、クロエ・フィレルが激励を飛ばした。
「2人とも…頼んだわよ」
「「承知!」」
威勢よく答えたマルセルとルボルだが――彼らは内心で、エレオノールに勝てない事を自覚していた。格は相手の方が遥かに上。場合によれば、この戦いで自分達は死ぬ事になるかもしれない。だが、それでも命がけで戦えばエレオノール達を足止めする事はできよう。そしてそれこそが、自らに与えられた使命なのだ。
自分達が足止めをすれば、その隙に総司令官ヒューゴ・トラケウが何かを仕掛けるのだろう。自分達は捨て駒だ。だが、その役割に不服はない。ただ、与えられた役割を全うするのみ。それがマルセルとルボルにとっての武人としての誇り。
「近いぞ、兄者!」
「ああ!」
前方にエレオノール軍本隊が近付いてきたのを見て取り、両名は戦斧を大きく振りかぶった。




