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最終決戦3

 エレオノール軍とヒューゴ軍、その前衛が激突を開始した。騎馬隊が多くを占めているエレオノール軍がまずは一斉突撃で攻勢に回り、ヒューゴ軍の前衛である重装歩兵部隊が守勢に回る。さすがはヒューゴが率いているだけあって、ヒューゴ軍重装歩兵部隊の士気は高い。さらに、戦列が崩れそうになればその部分にはすぐさま兵が補充される。否――戦列が崩れそうになる『前に』すでにそのへ兵の補充が成されている。


 ヒューゴの持つ驚異的な戦術眼と指揮能力があるからこそ成せる業だ。


 実の所、ヒューゴはこの世界に来てから今日まで一度も本気で兵を率いた事がなかった。何故ならば、本気で兵を率いた彼はあまりにも強すぎるからだ。ヴォルフラムやカムランを凌ぐ指揮能力と武力。シャルンホストやエステルすら超える知略。それらを併せ持つヒューゴであれば、どのような敵であろうと一蹴できる。だが、あまりに強すぎる存在は、周囲から警戒され、恐れられる。


 本気を出して戦い続ければ、その強力すぎる力を危険視した帝国上層部によってヒューゴは命を狙われていた事だろう。もっとも、帝国上層部に命を狙われた所でヒューゴはそれらを返り討ちにする自信があったが…しかし、効率が悪い。それならば、力をセーブして戦って帝国上層部を味方に付けた方が良い。『ヒューゴ・トラケウは強いがヴォルフラムには敵わない』という印象をヒューゴは周囲に与え続けた。これならば、帝国もヒューゴの力を危険視しないだろう。


 だが…今や、もう帝国はない。もはや力をセーブする必要などはないし、目の前の敵に全力で当たるべきだとヒューゴは心得ている。

 

(これが…ヒューゴさんが手にした『限界突破(リミットブレイク)』の力…)


 椿は、完璧とも言えるヒューゴの指揮に思わず息を飲む。敵の弱い場所、士気の低い所を探そうとしてみてもそれが全く見当たらない。側面からの奇襲を試みようとも、そちらへの警戒も万全だ。


 ジークフラム、フィレル、エッカルト、バウテン、アイヒホルン、ヴォルフラム…強大な敵と幾度も対峙してきた椿だが、これほど完璧な用兵は目にした事がない。言わば、戦いの最適解が目の前にあった。だが――、


(それでも…僕達は、負ける訳には行かない)


 敵が強大である事は分かっている。それを嘆いている暇も、恐れている猶予もない。ただ、勝つために…椿は深く思考を巡らせた。

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