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ヨハンネス・フォン・リーゼンバッハ

 さらに時間を遡り、エレオノール軍とヒューゴ軍が熾烈な戦いが行われている平原から少し離れた位置。ここでもまた、激しい戦いが繰り広げられていた。いや、正確に言うならば…戦いではなく蹂躙だ。


 一方的に敵軍を蹴散らしているのはミュルグレスの配下。対して、ある者は降伏し、ある者は逃げまどい、ある者はどうしていいか分からず放心しているのは…王太子ヨハンネスの配下である聖王国残党軍だ。ごく一部の者は未だ防衛を試みているが、8割以上の兵は戦意を喪失してしまっている。


 そんな中にあって、総司令官のヨハンネスは何をしているかと言うと――ただひたすらに、逃げていた。


「はあ…はあ…!」


 息を切らし、時折後ろを振り返りながらヨハンネスは一心不乱に馬を走らせる。彼の事を何の取り柄もない人物だと思う者は多かったが…しかし、実の所逃げ足の速さという特技が彼にはあった。だが、彼を追う者はヨハンネスのそんな小さな特技すら計算に入れている。


「ひっ…!」


 ヨハンネスの頬が引きつった。自身を追いかける敵の存在が視界に入ったからだ。彼は、その男の事をよく知っていた。何しろその男とは聖騎士(パラディン)序列第二位…聖王国で最も知謀に長けた指揮官と言われた男。王太子として、何度かその功績を称えてやった事がある。だが、今は追う者と追われる者という立場。


「ミュルグレス…」


 ヨハンネスの喉から、自身を追う者の名が漏れた。

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