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勝利への道14
兜を目深に被った人物は、群がってくる敵に応戦する。だが、あまりに数が多く…そして、自身も疲弊している。段々と敵の動きに後れを取りつつある。それでも、前へ――前へ。しかし、限界が来た。敵の攻撃を受け止めた瞬間、体勢を崩してしまう。
「くっ…!」
ついに、がっくりと膝を突いた。そして無念そうに呟く。
「やはり…駄目…か…」
そんな彼女に、敵兵の槍が迫る。だが、それは寸前で弾かれた。それを成したのは、兜を目深に被った指揮官の後ろに立つ人物。美青年と言って良い端正な顔立ち、鋭い目つきの人物だ。彼女は言った。
「いや、よくやったボゥ。――おかげで、力を温存できた」
そう告げるなり、カイは迫り来る敵兵に対して凄まじい速度で剣を振るう。剣先が煌めいた…と思った次の瞬間には、敵兵達は地に倒れ伏している。
「お前達…よくもオレの可愛い義妹を痛めつけてくれたな」
カイ・ネヴィルはそう言い放ち、前方を睨みつけた。敵の軍団長…エルンストがいる、その場所を。




