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勝利への道13

 エルンストに向かって突き進んでくる兵の数は、50名程度。対してエルンストの前に展開した重装歩兵は約千名。しかも、己の身を何よりも大切だと考えているエルンストが選び抜いた最強の兵達だ。


(20倍の兵力差、最高の精鋭…おまけにそちらは疲弊している。カイ・ネヴィルがいくら優秀であろうと、これを突破するのは不可能だ)


 そう確信しているのは、エルンストだけではない。彼を守る重装歩兵全員の一致する考えだ。しかし、それでも50名の歩兵はエルンストに向かって突き進んでくる。


「はあああ!」


 先頭を進む人物が、槍を振るって重装歩兵に突入する。兜を目深に被り顔はよく見えないが、紫がかった黒髪が僅かに見える。


「奴がカイ・ネヴィルだ!複数の兵で当たれ!」


 エルンストを守る重装歩兵部隊の指揮官が叫んだ。エルンスト軍の特徴は、『強い相手とは戦わない』というもの。だが、この局面でカイとの戦闘を避ける必要はない。カイ・ネヴィルは間違いなく疲弊している。ならば、それはもはや『強い相手』ではない。100名を超える兵が一斉に殺到する。しかし、それでも兜を目深に被った指揮官は鬼神の如き槍捌きで兵達を薙ぎ倒していった。


「こいつ…なんて強さだ…!」


 エルンスト軍の重装歩兵達が驚きの声を上げる。だが、いかに精強な者でも無限に敵を倒し続ける事は出来ない。重装歩兵達の戦列をあと少しで突破できる…という場面で、兜を目深に被った指揮官の動きが明らかに鈍くなった。


「ようし、今だ!総員でかかれ!」


 エルンスト軍重装歩兵部隊の指揮官が叫んだ。彼は内心で、少しばかり罪悪感のようなものを覚える。


(カイ・ネヴィル…とてつもない強さよ。もしも同等の戦力であれば…俺など、歯も立たなかったであろうな)


 そんな相手を数の暴力で叩き潰すというのは、武人として心が痛む。しかし…ここは戦場。そんな感傷に浸っている暇はない。今一度、彼は叫んだ。


「今だ!総員でカイ・ネヴィルを討ち取れい!」

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