勝利への道12
エリュクス配下の精鋭達によって作られた包囲網の中――。
「私が道を切り開く――進め、カイ・ネヴィル軍団長!」
叫びつつ、敵の包囲に向かってユーウェインが突っ込んでいく。敵は精鋭。数の上でも相手が上。加えて、連戦に次ぐ連戦のためにユーウェインは疲弊の極みにあった。しかし、彼は迫り来る敵達を怒涛の勢いで切り崩していく。
(ここで道を切り開けずして、何が正義の聖騎士の副長か…!)
あの日…カムランがヴォルフラムに討たれた日、ユーウェンは何も出来なかった。それはもう取り返せない過去だ。だから今度こそは同じ思いをしない。ユーウェン・ランカスターはそう決めていた。そして、彼は敵の包囲に一筋の穴を穿つ。
「行けえ!」
ユーウェインの言葉に頷き、兜を目深に被った重装備の騎士が包囲から見事脱出に成功する。さらにその騎士に続いて、「軍団長!」と口々に叫びながら数名の兵が後を追う。その様子にエリュクスは感嘆の声を漏らした。
「あの包囲を脱出するとは。あれが正義の聖騎士のかつての副長、ユーウェイン…。さらに先頭を進むは信仰の聖騎士カイ・ネヴィルか。…奴はここまで来る。油断はするなよ」
「はっ!」
エリュクスの命を受け、重装歩兵部隊が彼の前に展開する。軍団長、エリュクスへの刃を阻む最後の壁だ。




