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はじめまして!

吹き抜ける風の冷たさが世間の風当たりのように感じて笑えてくる。

パワハラ、サービス残業。せっかくの休みと思えば上司からの誘い。

入る会社を間違えたと思っていたところに追い打ちをかけるように親が詐欺にあい全財産を失いショックで世間を呪うように死んでいった。

もううんざりだ。俺の親が何をしたっていうんだよ。

俺が何をしたっていうんだよ。

たまたま詐欺グループにうちの親が選ばれて、たまたま上司の八つ当たり先に選ばれて。

この世界に未練なんてない。

ビルの屋上をゆっくり歩いていく。

流石に年末だけあって風が冷たい。まあ、俺には関係ないか。今から飛び降りるんだしな。にしてもやっぱりこえーな。

って何を言ってるんだ俺は。こんな世界に未練なんてないんだろ?

なら早く飛び降りる方が楽じゃないか。

風の冷たさと恐怖のせいで足が上手く動かない。力の入らない足を一歩。一歩と踏み出していくが、


「うん?なんだこれは?」


俺の立っている床だけ妙に薄く感じる。


バキッ!


「しまった!」


気がついたときには遅かった。

どこまで落ちるかわからないが頼む。痛くなくてくれ!


「·····あれ?」


俺の予想よりも遥かに早く止まった。

ここはどこだ?ていうか部屋?


「ちょっ!あんたなにしてんの?!」

「はっ?俺はただビルの屋上に立ってて····」


俺の目の前にはバスタオル一枚の少女がいた。

濡れた髪の毛が胸にかかってエロい。


いやいや。そんなことを考えてる場合じゃないって!


「違う!これは誤解だ!俺はただ屋上にいただけで!」

「わかったからとりあえずあっち向けぇぇぇぇぇ!」


少女のグーパンチで強制的に向こうを向かされた。


「いい?私がいいって言うまで動かないで!いい?」

「はっ!はい!わかりました!」


有無を言わさぬ剣幕で俺を睨みつけ奥の部屋に消えていく少女。

それにしてもなぜ俺を警戒しないんだ?

ここで俺が襲ったら一発アウトじゃないか。

俺が考えているうちに彼女は着替えてかわいいピンクのパジョマを着て出できた。さっきはよく見えなかったけど金髪でかなり気の強そうな少女だ。


「で?なに?死のうとしたわけ?」

「えっ?なんでそれを?」


俺はまだ何も言っていない。

なのになんでこの少女はわかったんだ?


「ふっ!何その顔。あのねーここの上はビルの屋上なの!

屋上っていったら死ぬしかないじゃん!それとも何?星でも見に来たの?」

「たしかに。ここに来るやつなんてほとんど死ぬ目的だな」


納得。そりゃそうだ。こんな夜中に絶望した顔をしたやつが自殺志願者じゃないほうがおかしい。


「へー。じゃあ私はあんたの命を救った恩人ってことでおけ?」

「うーん。まあそうだな。」


なんだ恩でも着せようってか。そんなことされたって俺には何もないぞ


「ふーん会社は?」

「やめたよ。どうせ死ぬんだからいいだろ?」


ふむふむと相づちをうってきやがる。あぁ早く死んでしまいたい。


「じゃあさ私のマネージャーになってよ」

「えっ」

「だから私の専属プロデューサー!いいでしょ?!

「いや意味がわからん。俺はここに死にに来たんだよ!もう働くのなんてうんざりなんだよ!」


そうだ。もううんざりだ。やめちまおう。早くここからでて死んでやる


「へーいたいけな少女の裸を見ておいてそのまま死ぬつもりなんだー」

「あれは不可抗力で‥‥‥」

「あー心に傷を負った可哀想な少女をおいて一人で逃げるんだー」

「めちゃくちゃ棒読みじゃねぇか!何が言いたいんだよ!」


俺が言うと少女は嬉しそうにニコリと笑いやがった


「いい?あなたはここで死ねば私は可哀想な少女として生きていくことになるわ!でもあなたがプロデューサーになって私を輝かせることが出来れば私は可哀想な少女じゃなくなるの!つまり!!あなたに残された道は一つだけ!」


「この可哀想な少女を救いなさい!!」


拒否権なんて一切認めない。まるで前のパワハラ上司だぜ、

でもこいつは俺に期待をしてくれてる。あの蔑んだ目で命令してくる奴らとは違う。なあ。母ちゃん。父ちゃん。もし生きてたら何してんだって起こるだろうけど死ぬよりましだ!俺こいつを一番にするよ!

だからそっちに行くのはもうちょい掛かりそうだ。


「ふん。わかったよ。俺がお前を最高の少女にしてやるぜ!」


決意は決まった。それにもう一度死んだ身だ!やれるとこまでやってやら!






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