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ギルドリーダー

 『ギルド』という組織がある。それは冒険者協会に加入をしている冒険者が集い、個としてでは無くグループで動き依頼をこなしていく組織。

 ギルドを創る為の規約は緩い────


・一つ、冒険者協会に加入している冒険者である事。

・二つ、二名以上のギルドメンバーが加入している事。

・三つ、ギルドリーダーを立てること。


 他にも色々規約はあるのだが、設立にあたっての規約は以上のものである。

 勿論、俺含め今日のメンバーはギルドメンバーであり、それぞれ同じリーダーの元で活動している。

 そして、強制では無いのだがギルドの殆どが『ギルドホーム』という拠点を持ち、そこで同じギルドメンバー同士が生活を送っている。

 これは個々人の絆を深めると言う理由もありつつ、組織として依頼を受ける都合上、同じ場所に予め集まっていた方がいいという理由もあるのだ。

 俺のギルドも例外ではなく、街の西部に位置する住宅街に俺達のホームは存在している。

 一戸建、物価の安いこの場所だからこその広々とした部屋。ダイニングテーブル、大きなソファーに絨毯が敷かれているその部屋で────



「……で? 何か言い訳はあるのかしら?」



 ……正座しています。


「リーダー! 言い訳があります!」

「許可しません」

「言い訳あるって聞いたのに!?」


 手を上げて発言しようとするものの、速攻で拒否。先程の言葉は一体何だったのか?


「でもリーダー……ボク達、今回は何もしてないよ? 主に戦犯はイザベルだからイザベルだけを処すべきだと思う! っていうか処して!」

「なっ!? 裏切るのかポーレット!」


 俺の隣で正座しているポーレットとイザベルがうるさい。声が響いて地味に痺れた足を刺激するからやめて欲しい。ほら見ろ、横でソフィアちゃんが涙目でプルプル震えてるじゃねぇか。


「イザベルを処ーせ! 処ーせ! 処ーせ!」


 ……うるさいが、事実イザベルが悪いから乗っかろう。


「「処ーせ! 処ーせ! 処ーせ!」」


 俺とポーレットの処せコールが部屋に響く。それを聞いて、イザベルが拳をワナワナと震えさせていた……が、気にしない。


「「処ーせ! 処ーせ! 処ーせ!」」

「うるさいわねっ!」

「「「目がッ!? 目がァァァ!?」」」


 処せコールをしていた俺達とイザベルの目に氷の砂塵が目に入る。


「私、うるさくしてないけど!?」


 おぉう! 冷たいし、痛いし、涙が出るぅ!

 見えないが、きっとこの部屋ではソフィアちゃん以外の三人が目を押さえてのたうち回っているのだろう。


「……私はね、怒ってるの。何回言っても聞かないあなた達に……怒りが治まらないの」


 そう言って、低い声音で話す目の前の女性。銀色の髪に美人よりの整った顔立ち。それでいて、程よい胸部の前で腕を組み見下している様が怖い。

 我がギルド『クラウン』。その創設者であり、ギルドリーダーである。


「これで今月何度目? 今日、公爵様と他のギルドからの苦情が凄いのだけれど? ねぇ、怒らないから言ってみなさい?」

「十二回目だ!」

「多過ぎるわよ!」

「私の目がァァァ!」


 ……憐れなりイザベル。今ここでリーダー────ミカエラと会話をしたら反感を買うだけだと言うのに。


「ただでさえ私達は周囲から『はみ出し者』って言われてるのに……また、評判が下がっちゃうじゃない……もぅ、やだぁ……」


 そう言って、イザベルは頭を押さえる。折角の美人な顔が疲労で台無しである。

 『はみ出し者』とは、俺達『クラウン』のメンバーの呼び名である。

 この世界には生まれた時から『ギフト』と言われる神からの贈り物が与えられ、それは千差万別、人によって様々でありギフトの名前に特化した能力が与えられるものだ。

 勿論、ギルドは他の人によって同じ事もあれば、全く違う事もあるが────そのギフトは、皆平等に一人一つ保持している。

 その中で、稀に生まれるギフト。その総称の後に付く希少な存在────『王』。

 それはその能力を最大限まで発揮させ、尚且つ絶大な効力を持っている。

 世は『王持ち』と呼び、王一人いるだけで一師団に匹敵されると言われている程、強力な存在だ。

 がしかし、王持ちは忌み嫌われやすい。嫉妬故だったり、その場に適しにくかったり────様々ではあるが、世間では疎まれたり邪険にされてきた。

 ここで話を戻すが、そんな者に宛てられた言葉こそ『はみ出し者』。周囲に適することが出来ない疎まれた者に与えられる呼び名だ。

 ────それが、俺達。


「言いたい奴には言わせておけ! どうせ私達は私達なんだ!」

「そうそう! ただ、皆がボク達の偉大なる力に嫉妬しているだけだよ!」


 ギルドリーダー、ミカエラ――——そのギフトは『氷の王』。

 ギルドメンバー、イザベル――——そのギフトは『炎の王』。

 ギルドメンバー、ポーレット――——そのギフトは『死者の王』。

 ギルドメンバー、ソフィア――——そのギフトは『癒しの王』。


 そんな王持ちのポーレットとイザベルがリーダーに向かって抗議する。


「……だから、公爵様の土地を焼け野原に変えて────」

「……うっ!」

「草原にアンデッドの集団を残して────」

「おいコラ、初耳だぞ」

「だって……やっぱり連れて帰ったらリーダーに怒られると思ったから……置いてきちゃった」

「何故か討伐したはずの魔物がまだ生きていて────」

「……ソフィアちゃん?」

「か、可哀想でしたから……」


 俺の知らぬ間に問題起こし過ぎだろこいつら。リーダーが怒るもの無理がないわー。

 …………。


「……そう言えば、俺何も問題起こしてなくね?」

「連帯責任って言葉知らないの?」

「理不尽!?」


 何当たり前のこと言ってんだ? みたいな顔で言わないで欲しい。普通に理不尽です。俺、悪い事してないので本当にやめて欲しいです。


「ロイは一番古参のメンバーなんだから、メンバーの面倒みなさいよ。今回は監督不行きとどきってところね」

「俺の扱いが酷い件……」

「なに、文句あるのかしら?」

「いえ、ないっす」


 最古参って関係あるの? だったらクエスト報酬の分配割合増やしてくれない?

 だが、リーダーに反抗する度胸は……今ないので大人しく謝ります。


「……はぁ。とにかく、公爵様には私から謝っておくから……後処理、手伝いなさいよ?」

「「「イエス、マイリーダー!」」」

「わ、分かりましたっ!」


 俺達の言葉を聞き、ミカエラはゆっくりと奥の書斎へと戻っていく。その後ろ姿は疲労がとても伝わってきてしまう悲しいものだった。


「……とりあえず、市場でリーダーが好きな饅頭買ってこようぜ」

「……そうだね、ボクもお金出すよ」

「私も、お小遣いからお出しします……」

「わ、私は出さないぞっ!」

「お前も出せよこの戦闘狂がッ!?」


 俺達はこの後、街の市場でリーダーの好きな饅頭を買って献上しました。

 俺達ははみ出し者であり、個人が強力な力を持っているが────

 うちのリーダーだけには逆らえない。


 それは、この場にいる者全員が……リーダーには感謝しているからだ。

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