アルム兄貴と温泉
和風の男湯と書いてある所に入ると温泉の匂いがした。さっき宴の前に皆は入ったらしいけど俺は入らなかった。やっぱり風呂は一人で入る方がいい。
「あれ?アルム兄貴」
服を脱いで脱衣籠に入れてガラス扉を開けると岩風呂にアルム兄貴が入っていた。
(そーいえばカラオケ中にいつの間にかいなくなってたなぁ)
「あぁ、ヴァンですか」
体を洗ってからアルム兄貴の隣に入る。
「あっつ!ってかアルム兄貴よく茹で山羊にならねぇな」
「熱には強いんですよ」
「そっか…」
………
沈黙が流れる。何か話そうとしても言葉が出ない。
「あぁ…明日でノーザンライツ卒業かぁ」
先に喋りだしたのはアルム兄貴だった。
「ここの島に嫁ぐんだっけ」
「そうです。僕のような不吉な色の男を貰ってくれる良い人達です」
「不吉?半分黒で半分白なのカッコイイと思うけどなぁ。オッドアイだし。」
滅多に赤い方の目は開かないけどアルム兄貴の体毛が白黒なのはカッコイイ。
「そう言ってくれるのはヴァンだけですよ…しかしヴァンは優しい子に育ちましたね」
「それはアルム兄貴の教育が良かったからだろ。
感謝してるよアルム兄貴」
そう言うとアルム兄貴はにこっと笑う。