過酷な修行
そう言うとラムセスはポンポンと俺の頭を子供みたいに撫でて来た。
「な、子ども扱いすんな」
「ヴァンらしいと思ってな」
「おーい!何話してるの?」
向こうからユリとスズがジュニアを抱っこしてやって来る。
「あっ、ヴァン目が真っ赤!泣いてたんでしょ」
「なっ、泣いてねぇよ!」
「それともラムセス王が泣かせたの?!」
「なっ、俺は…」
ぎゅううと苦しいくらいにユリが俺に抱き着いて
「ヴァンは僕のだからね!ラムセス王にはあげない!」
と理解に苦しむ事を言い始める。
「ちょっと!ヴァンは私のご主人様よ!」
「イタイイタイイタイ!」
スズに耳を引っ張られ、ユリは俺を離す。
「キャッキャッ!」
それを見て嬉しそうに笑うジュニア…もうカオス!だ。
「やれやれ…休憩は終わりだ」
スズの手から一瞬でジュニアを奪うとラムセスは乳母の元へ歩いて行きジュニアを渡す。
「稽古を続けるぞ。死ぬ気でかかって来い!」
「おう!」
「「はい!」」
瞬間移動するラムセスの動きを読み、次に現れるであろう場所を予測してその背面から剣で斬り付ける。
キィンッ
「動きと読みはいい。だが動きが遅い!」
難なく剣で俺の攻撃を受け止めたラムセスは尻尾を俺の足に巻き付け振り回す。
「うわっ!」
「飛んで体制を立て直せ!ユリ、スズ!見てないで今斬り込んで来い!」
「「はい!」」