その覚悟はあるか?
それから俺は修行の合間にジュニアに会いに行くのが日課になっていた。
哺乳瓶からミルクを飲ませ、抱っこしたり、オムツを替えてやったり。
アルムが俺にしてくれた事をジュニアにしてやった。
「はぁ…」
休憩時間…俺は自分がどうしたいのか分からなくなってしまい頭を抱える。
「どうした?ヴァン」
ラムセスが水を持って来てくれ、それを飲み干す。
「分からないんだ…黒豹王は憎い…許せない…でも、今はジュニアがいるから…」
ジュニアを育てていると憎しみが薄れていく…あんなに黒豹王を殺したいと思っていたのに…
「愛は人を優しくする。
だが、力なくては愛する者を守る事は出来ないぞ」
「分かってる…」
今俺のレベルは70。黒豹王はレベル99…全てのステータスがカンストしており、スペシャルスキル攻撃魔法無効がある…ラムセスに剣を習っているけど…正直まだ勝てる気がしない。
「別に復讐をやめることは構わない。
ただ、奴が生きている限りヴァンをまた狙ってくる可能性はある。
死にたくはないだろう?」
「死にたくない…」
一時はアルム兄貴が死んで…自分も死にたかった。でも今はジュニアがいるから死にたくない。
「ヴァンは人を殺した事はないだろう?」
「ない…」
「…黒豹王と戦うなら、必ず人を殺す事になるだろう。生きる為には必ず何かを殺さなければならない。
その覚悟はあるか?」