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最終話「ジュニア」~ヴァンside~
最終話「ジュニア」
ある日、いつものように修行をしているともっちが俺を呼んだ。
「貴方に会いたいという方がいらっしゃいました」
「俺に?」
俺に会いたいって…誰だろう?ファンか?
「俺も行こう。ユリ、スズ、お前達も来るか?」
「「はい」」
取り敢えず汗を拭いて着替え、俺は3人と共にその会いに来た人が待つ客間へと向かった。
「……?」
客間に向かうとそこにいたのは半山羊人の女だった。腕には生まれたばかりだろうか。小さな赤子を抱いているようだった。
「貴方がヴァンですね」
「あぁ。そうだが…」
「私はオリビア。アルムの婚約者です」
「!!」
まさかと思って俺はオリビアに…赤子に近づいた。
「アルム…兄貴の子?」
「はい。そうです」
そう言って見せられたのは体の中心が黒い半山羊人の子…髪の毛はアルム兄貴と同じ薄紫色…。
「彼は…アルムは勇敢に戦い、ヴァンを守って亡くなったと聞きました…本当なのですか?」
「…あぁ」
「…そうですか…」
そういうとオリビアは赤子をずいっと俺に差し出す。
「え…あ…」