アルムの子守唄~ユリside~
「これ、ヴァンに見せよう」
「そうだな。
航海日誌もあるんだろ?そちらも持って行こう」
…日誌にもアルムが如何にヴァンを愛しているか分かるほど綴られていた。
僕達は宮殿に戻るとラムセスの部屋に向かった。
「!!」
其処には黒い服を着て、棺桶も用意されていた。
「死んだのか?!」
「いいえ…ですがラムセス様が戻り次第点滴は抜く決定です…」
「くっ…」
カツカツと松葉杖をつきながらラムセスはヴァンに駆け寄る。
「ヴァン…」
ガリガリに痩せたヴァン。瞼は閉じられ、ピクリとも動かない。
「…空が晴れたら船を出そう」
ヴァンの手を握りながら突然ラムセスは綺麗な声で歌い出した。
「…空の向こうに鳥が飛ぶ
鳥を追えヴァン、その翼で
明日も今日も鳥は飛ぶ
お前も元気に飛んでご覧
島いっぱい、お宝いっぱい
…後ろには僕がいるから
前だけ向いて飛んでご覧
ヴァン」
それは…アルムがよく歌っていた子守歌だった。
「空が晴れたら船を出そう」
僕もヴァンの手を握り歌い出す。それから、もしかしてと思って超小型掲示板でアルムのページを開くと…あった。それを押すと懐かしいアルムの声で歌が流れる。
「空が晴れたら船を出そう
空の向こうに鳥が飛ぶ
鳥を追えヴァン、その翼で
明日も今日も鳥は飛ぶ
お前も元気に飛んでご覧
島いっぱい、お宝いっぱい
後ろには僕がいるから
前だけ向いて飛んでご覧
ヴァン」