目覚めないヴァン
すぐにお風呂が用意され、ヴァンをラムセスが洗ってくれて、自分のベッドにヴァンを寝かせてお医者さんを呼ぶ。
「ヴァン…どうか現実に帰って来てくれ」
何本もの管を刺され、ヴァンは生かされる状態になった…。
時折、ラムセスが口移しで水を飲ませ、食べ物を与えているけど食べられずにこぼしてしまう…。
(僕には…此処まで出来るだろうか…)
ラムセスが公務で居ない間は僕がヴァンの手をぎゅっと握って、時々ラムセスがやっていたように口移しでヴァンに水を飲ませた。
「…兄貴…アルム兄貴ぃ…」
それでも何日も経ってもヴァンはあの日のまま…
日に日に管は増えていき、目に見えて痩せて来た。
同じく、スズちゃんも目を覚まさない。
白いカラスに姿が戻ったけど…こちらも管を通され、生かされている。
そして、20日を過ぎた頃、医者が
「このまま延命を続けるか、点滴を外すかお選びください」
と言った時にはラムセスは医者を殴り、半狂乱になって暴れた。
「何かないのか?!ヴァンを戻す方法は?!くそっ!!く…ギャンッ!!」
思いっ切りテーブルを蹴った時にラムセスは骨を折ってしまい、ヴァンの隣に寝かされるようになってしまった…。
(僕は…こんなにもヴァンの事を想えるだろうか…)
全てがラムセスに負けたようで悔しい。