マントと帽子
「僕はまだ結果待ちです」
「……」
そうだよね…アルムは嫁いじゃうんだもんね…。
「よし、決めた」
ヴァンが立ち上がり、お祖父ちゃんに頭を下げる。
「船長、俺にアウロラ号を下さい!」
「…!ヴァン!」
「俺はまだ世界全部を回ってない。黒豹の領域だって行ったことがない。
世界全部を回って、お宝集めて海賊やっていたい!」
ヴァンの申し出にお祖父ちゃんは頷く。
「いいだろう。アウロラ号はヴァンにくれてやる。
しっかりメンテして乗りこなしてくれ」
「やった!ありがとな、船長」
「儂はもう船長ではない。ただのクソジジイ様じゃ」
皆笑ってるけど僕は…笑えない。
僕はどうなるんだろう。
「ユリ」
「うん?」
「一緒に来い」
「!!はい!」
差し出された手をぎゅっと両手で握る。
「でも危なくなったら家に返すからな」
「うん…足手まといにならないように頑張る」
(挿絵:花見酒様)
戦闘は出来ないけど航海士として精一杯頑張ろう。
「アルム、まだ時間あるよな?もう少しだけ一緒についてきてくれるか?」
「かしこまりました、船長」
アルムは立ち上がって一礼し、にこっと笑う。
「じゃあ、ヴァン。これをやろう」
そう言ってお祖父ちゃんはヴァンに自分の帽子とマントを渡す。
「いいのか?」
「あぁ。父の代から受け継ぐ帽子と白獅子からもらったマントじゃ。大切にしてくれ」
「あぁ!大切にする!」