ラムセスとの再会 花見酒様のラムセススチル、めぐろ有須様のイラストあり
翌朝、俺達はアルム兄貴の用意したゲート前でそれぞれ別れを惜しんでいた。
「しっかりやるんですよ、ヴァン。船長と副船長を頼みます」
「分かってる。アルム兄貴もお見合い頑張ってな」
「はい!」
ぎゅっとアルム兄貴の手を握り、横から差し出されたユリの手も握る。
「ヴァン…」
「ユリ、芋剥き大会しっかりな。優勝、するんだぞ!スズちゃんを頼むな」
「うん!ヴァンもお祖父ちゃんもお父さんも、絶対に死んじゃ駄目だからね!生きて帰ってきてね!」
「おう!任せとけ。
じゃあ、行ってくる」
手を離し、ゲートを潜るとすぐそこは白獅子領北極だった。
「うぅ、さっぶ」
「ヴァン!」
(挿絵:花見酒様)
獣に乗ったラムセスが近付いてきて俺の前に来ると獣から降りてぎゅーっと抱き締めて来た。
(挿絵:めぐろ有須様)
「身長が伸びたか?男前になったなぁ」
「ラムセスは更にイケメンになったな」
俺の憧れの人の抱擁に幸せを感じつつ、遠くに見える鳥みたいな化け物に恐怖心が増していく。
生まれて初めて見るセイレーン。話には聞いてたけど結構でかい。
「リー」
「…え?!スズちゃん?!」
なんかポケットがもぞもぞしてスズちゃんが出て来た。
「付いてきちゃったのか?!」
「白いカラス?」
ラムセスが離れてスズちゃんをじっと見る。
「付いてきてしまったものは仕方ないな。
救護班の所に連れて行こう。戦場はとても危険だ」
「そうしよう。スズちゃん、こっちで大人しく待ってな」