羨ましいやら羨ましくないやら
「それにしても結婚いいよなー。童●卒業羨ましい」
「ヴァンはもうしたじゃないですか」
「えっ?!だからあれはノーカウント!婚姻届だってセトの名前を書いたし、俺は●貞のまんまだよ…」
ラムセスとの事を言っているんだろうけど残念…俺は綺麗なまんまだ。
「まぁ、本当に結婚してたらユリが何しでかすか分からないですからねぇ」
「最近ユリ怖いんだけど…」
俺は熱くて岩風呂の岩に腰かけて湯から体を外に出す。
「それだけユリはヴァンが好きなんでしょう。昔から一緒に育って来ましたからね」
「そりゃそうだけど…俺はユリの事弟くらいにしか思ってないからなぁ…」
未だに一緒の部屋だし、たまに同じベッドで寝ることもある。だいたい毎日一緒だし…。
「ヴァンが結婚する時は言ってくださいね。お祝いに行きますから」
「お、おう…」
ザバッとアルムは湯からあがり、俺も一緒にあがる。
「なぁ、本当にもうノーザンライツに戻らないの?」
脱衣場で体を拭きながらアルム兄貴に話しかける。
「えぇ。忙し過ぎて兼業は無理だと思います。父も叔父も毎日寝る間もないくらい働いていましたし」
「朝は乳搾り、夜は…」
「まぁ、そういう事です」
羨ましいやら羨ましくないやら。
「まずは明日の挨拶で一人に仕込まなければなりません。それでちゃんと子供が出来ればノーザンライツとはお別れになりますね…子供が出来たか分かるまではフリーなので、会える機会もあります」