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聖女は物理特化の冒険者を目指す。  作者: 玄峰 峡。
決断までに必要な道
9/60

コレで懲りたら聖女だろうが!

 家に帰ったのは5時になる頃だった。

 お母さんとお父さんが泣きながら私に抱きついてきて、

 家の人たち皆んなで私を探していたと、心配したと言われた。


 凄く申し訳なかったけど、正直に話すわけにはいかない。

 ちゃんといつも通り【治癒】と【修復】で服にも身体にも傷の類は残していない。


 ただ、少し違うのは……直した後にワザと転んで膝を擦りむいて泥だらけにしてみた。


「ごめんなさい。

 今日ね、お日様が気持ちよくてお昼寝しちゃったの。気づいて急いで帰ったら、転んじゃって……」


 だって3歳だもん、外見は。

 お昼寝の一つや二つしたいお年頃ですもん、外見は。


 とりあえず、こう言っておけば大丈夫。

 最悪1ヶ月家から出して貰えなくなるけど、また森には遊びに行ける。


 お母さんとお父さんは、私が魔物に襲われた訳ではないと知って、ホッとしたようだった。

 心なしか、家の使用人さん達まで涙ぐんでる気がする。


 何だか凄く申し訳なく思った



 ……のが、昨日の話。


 申し訳なく思いはしたけど、魔物と戦うことはやめませんから。絶対に!!

 これからも、レベリングは続けていく気です。


 でも家の皆んなを心配させた罰として、1週間部屋から出るのを禁止。更にもう1週間屋敷から出るのを禁止させられた。


 まぁ、いざとなったら【分身】と【隠蔽】のフル活用で出れる訳だけど。分身体を置いていって、姿を隠して家から出るとか、割と出来そうなんだよね。

 でもバレたときが怖いし、ちゃんと時間を破ったことに関しては反省はしているので、家にいるつもりですよ。


 しかし!ここでお外遊び(と言う名のレベリング)を辞めたら、それこそ聖女になってしまう。

 だから、2週間後からはまた全力で狩りに行きますよ!!


 で、だ。この2週間、何もせずに過ごす気は毛頭ない!!

 その為にワーキングビーの針を持って帰って来たのだから。


 ズバリ、【毒耐性】のレベルを上げます!

 やり方はとっても簡単。ワーキングビーの針を肌に刺すだけ。もちろん、バレないように、傷は治癒させますけどね。


 いや、あのとき一気にレベルが3まで上がったから、この身体には結構な毒ってことだと思う訳ですよ。

 死ぬような毒ではないけど。

 だったら使わない手はないでしょう!!


 早速やってみよう!!


【収納】から針を取り出して、軽く肌に当てる。

 ……って、結構痛い!


 そっか、昨日は命がけで戦ってたし、痛みを気にする余裕が無かったのか……。

 それにしたって痛すぎる。ちょっと当てただけでこの痛さとか、針が鋭いとかそういう次元の話じゃない。

 この身体が痛みに弱過ぎるんだ。


 あれ?でも、狩りをしてる時はこんなに痛みを感じはしなかった。

 アドレナリンとかなんとかのお陰で痛みに鈍くなってたとしても、こんなに痛がるんなら戦闘中ももっと感じてなきゃおかしい。 と、言うことは……


 この毒に痛みを倍増させる成分かなんかがあるってこと?

 そういえば、痛いって感覚は体力を消耗させるって誰かから聞いたことがあるような、無いような。


 ……うん!よくわからん!!毒の成分としておこう!!


 というか、すっごく暇だな、暇。

 だって針さしたらそのあとすること無いし。じわじわと減っていく、体力を見てるだけって言うのもぶっちゃけつまんない。


 何かやる事ないかなぁ……

 よし、実験をやろう。何の脈絡もないが実験をやろう。


 きっと私の事だから、実戦以外で、レベルMaxのスキル使おうとか思わないだろうし。

 うん、良い機会だ。やってみよう、()()()()()【神眼】が発動出来るかどうか。


【神眼】って索敵とか、相手のステータスを見るのにはもってこいなんだけど、使うときに目が虹色になるらしい。

 この世界で初めて使ったとき、友達に指摘されてビビりました。


「うわぁ!お目目、キレーだね、虹色!!」

 って無邪気に笑顔を向けられて一瞬固まってしまいました。


 神様達は何も言ってくれて無かったから知らなかったんだよ。

 あのときは必死に誤魔化したなぁ。

 って、そういえば明後日遊ぶ約束してたや。謝んないと。


「お嬢様、失礼致します」


 その声で私の思考は一旦中断。


「はい。どうぞです」


 少し幼い口調を意識して答えると、私付きのメイドのサーラが入って来た。

 私付きのメイドとか、やっぱり貴族なんだなぁって実感するんだよね。


 お母さんとお父さんが領民の人たちと仲が良くて、タメで話してるし、普通に領民の子達と遊んでるから、ちょっと大きな家の娘って感じが強い。

 だから、サーラのおかげで自分が侯爵家の人間だって、思い出すことが多い。


「どうかされましたか、お嬢様」


 私が黙ってたから、疑問に思ったらしい。


「ううん、なんでもないよ。それより、サーラはどうしたの?」


「奥様から傷の手当てをするように、と言われましたので」


「傷?」


「はい。昨日、お帰りになられた際に膝を擦りむいていらしたので、その手当てを」


 昨日?膝?擦りむく?


 ……あーッ!!そういえばワザと転んで怪我したんだった。すっかり忘れてたよ。

 ん?待って、どうしよう。さっき【治癒】したとき一緒に治っちゃったかも……


 そっとスカートの裾を持ち上げて膝を確認する。

 やっぱり治ってる!どうしよう⁉︎


「お嬢様?」


 もう諦めよう。隠すの面倒だし、何より言い訳が思いつかないわ。


「あの、お嬢様?どうなされました?」


「……あのね、サーラ」


「はい」


「傷、治ってるの」


「……はい?」


「傷、治ってるの」


 そう言って、膝が見やすいようにスカートを持ち上げる私。

 固まるサーラ。


 それはそうだわ。擦り傷が1日で跡形もなく治るとかありえないもんね。


「し、失礼しましたっ!!」


 慌てて部屋を飛び出していくサーラ。

 それをポカンと見送る私。


 サーラが足音を立てて廊下を走りながら叫んでいる言葉を聞いて、私は冷や汗を流した。


「御当主様!奥様!チャーチに連絡を!お嬢様が【治癒】をお使いになられます!!」


 あれ?もしかして私、早まっちゃった?


読んで下さっている方、有難うございます!

拙い文章ですみません。





申し訳ありませんが、投稿日を週一に固定させて頂きます。

次回から、日曜日の午後に投稿します。

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