最終決戦
「っ!!!!」
格好つけてみたは良いものの、まるで歯が立たない。
しかも、怪我をさせてはいけないって考えているから、彼女を前にずいっ、と出されるとどうしようもなくなって受け身しか取れなくなる。
というか、首輪が外れたものの、スキルが使えない。この空間の所為か、はたまた目の前の鎖の所為かはわからない。
いやぁ、今までスキルに頼らずに生活してて良かったよ。
なんて、呑気なことを考えている場合ではなく。
軽く現実逃避してはいるけれど、いつ他の奴らが帰ってくるか分からない以上、なるべく早くケリをつけなければならない。ならない、のだが……
「おい、大丈夫か!?」
今更来たのか感凄いけれど、来てくれるだけ有難い。まだ倒れるわけにはいかないって、なれるから。
何をどうしたのかよく分からないけれど、今さっき駆けつけてくれた。と言っても、手出しはしないんだけどね。
「てか、がっつり意志持ってますよねっ!?!?」
鎖が意志を持つってどんな状況何ですか!?
意味わからないです。硬いから斬ることもへし折ることも出来ないまま、防戦一方で早いもので10分くらいは戦っている。
正直いうとかなり辛い。防戦一方で何も決定打は与えられていない。
疲れからか、防ぎ切れない場面も出てきている。
このままじゃラチが開かないどころか、負けてしまう。一体どうすれば……
「おい、彼奴も今までの奴らと同じだ。落ち着いて考えろ!!」
同じって言われてもあんたは高みの見物してるだけじゃん!!
あんたも助けてくれれば良いのに!!来るだけ来て、見てるだけとか一番ムカつくんですけど!?さっき有難いって思ったけれど、やっぱりムカつく!
ていうか、同じって言われたって、明らかに今までの敵よりもやばいでしょ。
全然同じじゃないからね!?
まぁ、きっと今までの敵みたく、転生できなかった魂がどうのこうのって話なんだろうけどさ!
って、待てよ……同じ?同じ、同じ……。
転生出来なかったからこうして身体をのっとっている訳で。そう考えると、いや、でも、本当に?
でも、そんなこと言っても、もうこれしか思いつかないし、これが通用しなかったら終わりなわけで……
「あぁ、もう!やるしかないじゃん!!」
うまくいかなかったらそれでおしまい、THE・ENDってことで。
うまく行ったら、褒めて下さい。
うまくいかなかったら……んなもん知るか!また何とかしてくれ!!うまくいくように願っとけ!
私の友人には幸運の神様もきっと付いているはずだ!あったことあるかはいまいち覚えていないけれど、きっと行ける!
私には神王という友達がいるんだよ!!神の中のお偉いさんと仲良くなれたんだから、それくらいの幸運は起きるはず、というか起こすんだ!!
「八咫霧」
元のアンクレットに戻ってもらってもう一度見据える。
息を軽く整えて、こちらに伸びてくる鎖から目を逸らさずに、閉ざさずに。覚悟を決めて。
聞こえているかも分からないけれど、これに賭ける。
届け。
当たれ。
「 」
告げた瞬間、首に何かが触れる感覚がした。
「……?」
うん、本当に。




