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発案!!

「つまり、魔物はその魂ってことですか?」


「そういうこと。魂が、その世界で生きる為にその世界の生命に乗り移るんだ。ただ、時が経てば魂は自然と黒く濁る。それが魔物の正体なんだ。ちなみに、聖剣とかも魂入りだね」


「はぁ……」


「殺すだけでは魂の救済にはならない。余計に濁らせるだけだ」


「天国とか、罪を償う場所みたいな世界は無いんですか?」


「現状は無いね」


 そのまま魔王様と会話を続けてみたのだけれど、未だによく理解出来ていない。ちょこちょこ質問をしているもののなんとなぁくわかったレベル。

 完全には理解出来ていない。


 そんな私を見かねたのか、魔王様は苦笑して簡単な説明に切り替えてくれた。

 申し訳ない。


「要は、魔物を殺さずに魂を浄化させる方法を探して欲しいんだ」


「いやいやいや!そうやって言うってことは、今まで何も見つかっていないんですよね?それを、ひょっと出てきたばかりの私にどうしろと……」


「でも、何か方法を見つけなければこの世界は愚か君の元いた世界も壊れる危険があるんだ。魂過多で」


 魂過多、ってなんか嫌な響きですね。でも、本当にどうしろと……

 というか、それって本来は私よりも魔王様とか神様とか神様とかが対処すべき問題ですよね!?なんで私なんですか……


「実を言うと、そこら辺の決め事って神王様が決めているんだ。神たちは神王様の部下だし、僕は神様の部下だからさ」


「……上司の上司には逆らえないってことですか」


「そう言うこと。それに比べて君は違う。神と約束をしただけで、厳密には部下ではない。つまり、僕らが決め事に縛られてうまく立ち回れない問題も君ならなんとか出来るかもしれないってこと」


 なるほど??

 つまり、神様たちは神王が決めた決まり事?規則?の所為でこの事態の対処がしづらい状況にあるってことか。確かに、規則の抜け穴を縫うのって、なかなか面倒だったりするもんね。


「ちなみに、皆さんが動けない最大の理由とは?」


「転生の出来ぬ魂に触れる事を禁ずる、って決め事かな」


 はい、アウトー。もろアウト。

 それだと抜け穴を縫ってどうにかするどころか、そもそも抜け穴があるはずのないコンクリか何かの壁レベル。穴なんか空いてない。ぶち抜くしか方法がないやつだ。

 そりゃ、自分らよりも力も弱い、寿命も短い人間に頼みたくなる訳だよ。


 というかふと思ったんだけど、神王がその決め事を変えれば万事解決じゃない?

 人間になんとかしてって頼むよりも、そっちの方が断然早くね??


 そう思って尋ねると、遠い目をされた。

 そして一言。


「……一度作った決め事を変えることを禁ずる、って言う決め事に神王自身縛られてる」


「……は?」


 いやいやいや!!その理由はないでしょ!?

 馬鹿ですか!?どうして自分よりも支配力の強い決め事作っているんですか、神王さん!?

 神様たちは封建国家なんですか!?


 いや、多分だけど、自分たちが好き勝手やりすぎないようにそうしたんだよね?だとすれば、それはいい判断だと思うよ?

 だけどさ、だったら決め事を作る前にもっと一個一個を深く考えようよ!!起こりうる可能性をもっと考えましょうよ!!


 私が、先のことをもっと考えましょう、って言える立場でないことはわかっている。自分を棚に上げていることは自覚している。

 だとしても、私もあなたも頭をもっと使いましょう。そうしないと、この先さらに大変なことになりますって……


 《コール。称号【神王の同属】を獲得しました。》


 ……神王様??もしかして、ふざけていますか?

 久々に、コール、って単語聞いたなって思ったら「同属」ですか。確かに、考えが足りないところは同属かもしれません。

 今、新しい称号を作る時間があるのなら、何か方法はないか考えましょう。せめて、進行を遅らせる方法は無いんですか!?


 まぁ、ここで過ぎたことをとやかく言っても何も始まらない。もう終わりにしよう。

 とにかく、私の仕事は魔物を殺さずに、かつ浄化させることですかね?でも、浄化ってどうすれば……

 って、そうだ!!


「さっき、天国とか地獄は無いって言いましたよね?」


「そうだね」


「なら、作ったらどうなりますかね?」


 私が思いついた案。それはズバリ新しい世界の作成。

 転生が叶わなかった魂たちが浄化するための世界を作るのだ。魂が転生出来る様にする為の世界だから、厳密には転生にならないはず。これなら、いけそうじゃない?


「いい案だとは思うけど、誰が管理するの?」


「へ?」


「作るのなら管理する神が必要だ。魂の回収は死神くんだって決め事に引っかかるから出来ないし、誰が制御する?もう手の空いている神はいないし、神王も子を作らないって決め事作ってるし……」


 子を作らない、ってそうだった……

 神様は神王の子供なんだっけ、一応。その事をすっかり忘れていた。

 いや、待てよ?でも、子を作らないってことは……


「だったら、自分の子供以外を神様認定すればどうなります?その神様のみ触れることを許すって決め事を追加して」


「……え?」


 しばらく考え込んだ結果、魔王様が出した結論は確認してみる価値はあるとのこと。

 ということは、これでなんとかなる!?と思ったものの、確認まで時間がかかるそう。じゃあ、それまでは私がなんとかするしか無いよね。

 言い出しっぺですから。

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