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聖女は物理特化の冒険者を目指す。  作者: 玄峰 峡。
教会 –チャーチ–
50/60

let's go 魔王城!

『絶対に嫌だ。』


その手紙を受け取ったライアーナのお父さんの反応はというと……


「へぇ。良い度胸だね、あの子も。誰ににたのか随分と頑固になったものだ」


と、にこにこ笑顔を浮かべていた。いや、現在進行形で浮かべている。

そしてそれを側で見ている私の方が震えている。ハロスはというとそんな私を見て若干ではあるものの口角を上げている。なんかムカつく。


それはさておき、手紙をおじさんに見せるとライアーナを叱るというか締め上げるやる気が出てきたのかすぐさま出発となった。というか、やる気の『やる』の字がが殺すという漢字のように感じてならない。まさか娘を殺さんだろうし、気のせいだろう。


今は再び森の中を進んでいる。変わらず普通のおじさんと真っ白と真っ黒で進んでいる。道中何度か思ったけれど、やっぱりこの組み合わせは違和感の塊だよな。白黒コンビだけならまだしも、その先頭は普通のおじさんなんだから。


あれ?でもよくよく考えたらラノベとかでありそうかも。イメージカラーが正反対の人間というか魔物とか何かをひょんなことから従えてしまったものの、平穏に異世界ライフを楽しみたいおじさんの物語……的な??多分イメージカラーが反対な2人だか2体は十中八九最強キャラなんだろうな。多分魔王と勇者に好かれたおっさんみたいな物語なんだろうな……


軽く現実逃避をしながら進む。

おじさんのやる気が上がった為、ペースは早い。今までの1.5倍くらいのペースで進み続けること約4時間。特に大きな問題もなく今日の歩みを止めた。


「おつかれさまなのー!おみずくんできたのよー?」


……何故かこの子もついて来た。

3人の旅路に1人?1匹?の妖精。出発の際に「いっしょにいくのー」と駄々をこねられ、普段は誰にも見られないようにすることを条件に了承した。


おじさん曰く、今ではインプは悪魔として見られているから一応魔物カウントなんだそう。万が一見られると厄介なことになりかねないそうだ。

だから、ここまでの約4時間は姿を見せていなかったんだけれど、興奮すると彼女の周囲にある枯れ枝がほんの少し光る。さすが挿木の妖精、といったところなのかな?


さて、ここから先は特に変わったこともなく、ひたすら進み続けた。

お父さんやお母さんとの再会はライアーナに会ってから行くことになり、街の中を素通りして裏山へ向かう。

ものすごく不審な人物を見るような目で見られたけれど気にしない。気にしたら駄目だ。


裏山には確かに、おじさんが言っていたように道が整備されていた。しかし、やはり人目を気にしてか、少し奥に入ったところからしか整備されていない。

まぁ、それでもかなり歩きやすくなっているから楽だ。


そんなこんなで裏山を抜けると大きな街に出た。

その街の風貌は予想を大きく裏切る物だった。一言で言うならば城下町、日本風の。そしてその中央にそびえる城も日本風。


ゲームだと外装は出てこなかったから気がつかなかった。なんという盲点、なんいう思い込み……!!

と、そんな感想は今はいいのだ。魔王の住う街と思しきこの街に出てからというもの、もともと上がっていたおじさんのやる気が更に上がっている。もはやわくわくしている。


正直もう関わりたくない。今すぐこの場を離れてお父さんとお母さんのところに挨拶に行きたい。

しかし、そうもいかないのだ。諦めるしかない。


「さて、と。じゃあ、シューくんのところに行こうか」


そういえば、ゲームだと魔王っていかつい仮面つけてたんだよね。素顔ってどんな感じなんだろう??

その点に関しては少しだけ楽しみかも。


城の門番さんは顔パスで通り過ぎ、私たちも止められたもののおじさんの連れだということで城内に入れてもらった。


中に入るとなんだか不思議な空間だった。

外観はまごうことなき日本なのに、内装は和洋折衷というかなんというか……周囲には扉ではなく障子や襖があるし、中を覗けば畳が敷いてある。しかし、そればかりではなく、和室の隣には中世ヨーロッパを彷彿とさせる扉がある。


一言で言うならばあべこべだ。

しかし、あべこべの一言で片付けてしまうのは勿体無いような不思議な統一性がある。それが何なのかはよくわからないがそれぞれが浮くことなく一つに収まっているのだ。


「不思議な感じ……」


「たのしいのー!!わくわくなのよー!」


妖精ちゃんはわくわくしていて、あっちへふらふらこっちへふらふらと飛び回っている。あまり遠くへ行かないように気にかけながら、おじさんの背中を追う。


「さぁ、久しぶりの我が子との対面だ。楽しみだなぁ」


そう呟いて立ち止まったおじさんの目の前には重厚感漂う扉、ではなく今まで見てきたどの扉とも同じような襖がある。

本当にここに魔王が??偏見かもしれないけれど、魔王ってもっと豪華ないかにも魔王です!みたいな扉の向こうにいると思っていたんだけれど……


まぁ、とにかくここまできたらいくしかないね。

さて、どうなるのかな!!

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