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聖女は物理特化の冒険者を目指す。  作者: 玄峰 峡。
教会 –チャーチ–
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おじさん!?!?!?

「んー……まぁいいんじゃない?」


 おじさんのその一言で、私の頑張りは虚しく終わった。つまり、勇者・カイルも一緒に付いてきます!

 おじさん、聞こえましたからね!最後に「もう面倒くさい」って呟いたの聞きましたから!


「ありがとう!では、早速仲間を呼んで来るから待っていてくれ!」


 ん???仲間?

 全力で走っていって見えなくなったけど、仲間??もしや勇者パーティの方々ではないですよね??


「……ねぇ、おじさん。今のうちに行きませんか?」


「そうだね、行こうか」


 それから3日間、森の中を歩き続けた。

 ここが何処なのか、イマイチよくわからない。おじさんも大体の位置は教えてくれるんだけれど、説明が分かりづらい。

 例えば、有名な名産品のある街からどの方角に何時間歩いた位置とか、どの星とどの星の間の角度何度の位置とか、とにかく分かりづらい。


「そろそろ町に寄って、休もうか。ずっと森の中っていうのも飽きるしね」


 そんなおじさんの一声により、私たちは洞窟の中に入った。

 ちょっと待って、何で洞窟の中なの?洞窟に町ってあるの??


 戸惑いながらおじさんの後を追う。

 しばらく歩いた後、急に明るい光が私たちを覆った。目が光に慣れだした頃、目の前に見えたのは文字通り町だった。しかし、誰の姿も見えない。 


「ここは何処、って顔だね。ここはね、私の故郷なんだ」


「故郷??」


「人間が迷い込んだと煩いから来てみれば、お前か」


 急に目の前に現れたのは黒髪黒目、肌は褐色の中性的な人だった。いや、人というのが正しいのかはわからない、だって浮いてるんだもん。


「久しぶり、兄弟」


「そうだな。ソイツらは新しい仲間か?」


「いや、娘の友達と、その恋人さんかな?」


 え、ちょっと待って。ウインクされたけど、いや、待ってよ。

 何でその噂知ってるんですか、おじさん。しかも、それ私が嫌がらせでやっただけなので、事実ではないです。広めないでください。


「そうか、転生者と神の恋仲か……」


 え、いや、は??

 何で私が転生者ってわかったの??しかもハロスのことも神って見抜いたし。それに対してハロスは平然としているし。

 誰か説明ください!!


 私が困惑している間に、おそらくこの町で1番大きいであろう建物に案内された。

 椅子はなく、小さなテーブルと座布団が引かれている。


「さて、まずはこの町の説明からかな。この町はインプの町だよ」


 え……。

 ちょっと、どころかまったくもって頭が追いつかない。まず、インプって何!?


「インプっていうのは木の枝の妖精のことだよ。まぁ、今じゃ悪魔って言われているけどね」


 つまり、妖精の方々の町ってことですか。

 ん?おじさん、この町のこと故郷って言ってたよね??それってまさか……


「インプだよ。まぁ、元が付くけどね」


 はぁぁぁぁぁぁ!?!?!?

 いやいや、初耳なんですけど!?いや、確かに言いづらいものはあるとは思うよ!?

 だけど、え、はぁ!?


「こいつは、人間恋して、人間になりやがった馬鹿だ」


 えぇっと?

 つまり、おじさんはインプって言う妖精で、でも今は人間ってこと??アレ?じゃあ、ライアーナは人間?ハーフ??


 よく分からなすぎるので、詳しく聞く。

 聞いたことを纏めると、おじさんは今は人間。インプの時に使えていたスキルのうち幾つかならいまだに使える。ライアーナも人間、しかしインプのスキルの劣化版は受け継いでいる。精霊眼だか何だか、名前は忘れちゃったけどそんなようなスキルを持っていた気がするから、きっとそれがおじさんからの遺伝なんだろうなぁ……


「インプって妖精だから、割と神様とかの神聖なものに近いんだ。だから、神を見つけられるし、他の世界の魂だったりも見れる。私は、君がお腹の中にいる時にちょっと視てね。それで君が記憶持ちの転生者なんだってわかったんだよ」


 へぇ……よく分からない。キャパシティオーバーです!!

 それはそうと、と話を戻されようとするけれどそんな簡単にわりきれるものじゃないですよ、おじさん。


「さて、私がこの場所に2人を連れてきたのは……」


「連れてきたのは?」


「単純に、私がお風呂に入りたくなってしまって……」


「「は??」」


「いや、だってもう何日も森の中だよ?流石に少しゆっくりしたいよ。それに、あの馬鹿娘にどう制s…躾をするか案を練りたいし」


 今、制裁って言いましたよね??言い直しましたけど、はっきり躾って言いましたね??しかも、笑顔で言った……

 森の中歩いている時はそんな表情見せなかったから、少しは溜飲が下がっているかと思ったら全然下がっていないんですね。


 とにかく、ここは安全だし今日1日はここでゆっくりしよう、と押し切られハロスと一緒に一つの部屋に押し込められた。

 そして、最後に一言「どうぞ、ごゆっくり楽しめ」と告げられた。


 え、いや、楽しむって一体何を楽しむんですか??

 しかもベッドがひとつしかないし、ラノベの中でもなかなかお目にかかることの少ない、いわゆる「YESNO枕」といわれる物まであるのですが……


「「はぁ……」」


 2人して顔を見合わせてため息をついたのは無理もないことですよね??

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