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聖女は物理特化の冒険者を目指す。  作者: 玄峰 峡。
教会 –チャーチ–
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とにかく頑張る

「外にいた者に確認したところ、ライアーナの姿は見ていないとのことでした」


「そ、そうですか……」


「神子様にこのような事を申すのは不躾かと思いますが……本当の事をお教えください」


 本当の事と言うと、チャーチに我慢ならなくなったから私にすら気付かれないようにこっそりと出て行き、さらに魔王のところに嫁になろうと押しかけに行った事ですか?

 ……無理無理無理!考えてみたけど、絶対無理!絶対に言えない。言ったらヤバいやつだよ。


「言えないのですか?まさか、この男に脅されて……


「無いから!脅されてない!!」


「では、おっしゃってください」


 そう言われたって、どう言えと!?

 本当の事を言ったら、絶対に魔王を倒せってなるよね!?

 でも、言わなくてもなんやかんや言われて魔王の仕業とかハロスの仕業とかに仕立て上げられちゃいそう……

 どうしよう!?


「もう諦めて本当の事言えば?」


 いや、ハロスさん、何言ってるんですか!?

 駄目でしょ、絶対に駄目だって!


「そのガキは


「駄目!言わないでってば!!」


「家出したんだよ」


「……は?」


 思わず目をつぶって覚悟を決めたのに。本気でいうのかと思ったのに。それなのに、それなのに!!

 いや、まぁ確かに間違いではないよ!?だけどさ、私の覚悟を返せ!!


「それは本当ですか?」


「そ、そう!!家出って言いづらくて……。ごめんなさい」


「そうですか、家出ですか。人生、そんな時もあるでしょう……」


 お?これでなんとかなる!?でも、若干嫌な予感が……


「と、なるはずがないでしょう。神の御前からそう易々と、何も告げずに去って良いはずがありません。何がなんでも引き戻します」


 やっぱりそうなりますよね!?薄々思ってました!!

 というか、連れ戻すぞっていう闘志?がメラメラと燃えている気が……

 ハロス、どうするの!?


「……想定外」


 想定外って、そんなのあるか!!

 どうにかしないと……


「あの……」


「こうしてはいられません。申し訳ありませんが本日は別の者に身の回りのことはお頼みください」


 バタンッ!!

 勢いよくドアを閉めて出て行った。そんな後ろ姿を眺める人間と神。

 ……って、どうするの!?ヤバいって!もともと無い語彙力が無になるレベルでやばいって!!


「どうする!?」


「俺様にどうしろと!?」


 いや、もともとお前の家出発言で急展開を迎えたんだぞ。

 お前からも案を出せ!!


 お互いになんの案も出ずに悩み続ける。


「そうだ!ライアーナに手紙をもらうのはどうかな?」


「手紙ぃ?」


「うん。チャーチ宛の手紙を書いてもらうの。どうだろう?」


 手紙をチャーチ宛で書いてもらえれば、少しは納得してくれないかな?

 嘘とか書いても良いから、とにかくチャーチに渋々だとしても納得してもらえる内容で書いてもらう。そうすれば、何とかならないかなぁ……という考え。


「……やってみても良いかもな。このまま時間だけが過ぎるよりは」


 よし。そうと決まれば、頼みます八咫霧!

 いつの間にか私の足に戻ってきていた八咫霧にお願いをする。

 八咫霧については彼女にも伝えていたし、人型の姿も見せたことがあるから大丈夫なはず。だけも、伝言を頼む形は少し不安が残るから手紙を急いで書く。

 それを八咫霧に届けてもらうという作戦だ。


「と、いう訳で行ってらっしゃい!」


「……で、問題が」


「手紙が戻ってくるまでどうするか、だよね。まぁ、なんとかするしか無いでしょ」


「だな。今回ばかりは協力してやる」


 いま、その後に「俺様の責任も少しはある」って小声で言ったな?責任感じちゃったな?

 よし、全力で協力してもらおう。


 さて、これからどうするか……

 問題が起きる前に下手にどうこうして、悪い方に行くのは避けたい。だから、必然的にその場しのぎばかりになりそう。

 って、そうだ。


「そういえばさっき、ライアーナのお父さんがこっちに来てるって言ってたよね」


「言ってたな」


「確認しに行くよね」


「行くな」


「お父さんに口止めとかしてないだろうね」


「だろうな」


「「……」」


「行くよ!!」


「の方が良い……!」


 2人して慌てて部屋を飛び出す。

 もちろんハロスは窓から、私はドアから。

 護衛の人たちに色々言われたけれど、今はそれに反応している暇はない。急いで行かないと!!


 護衛やらその他の人たちやらを振り切ってチャーチを飛び出す。

 上から声が聞こえて見上げるとハロスが空を飛びながら手を伸ばしてくる。その手を思いっきり掴んで引き上げてもらい、彼の腕の中に収まる。


 目指すは、ライアーナのお父さんの泊まっている宿。

 この辺りには宿屋はかなり多いけれど、殆どが冒険者向けの寝る為だけといったいったところだから、きっと泊まっていない。泊まっているとしたら、旅行客などが泊まるような連泊の出来る宿。なら、数は限られているから片っ端から行っても可能性はある!!


 とにかく急がないとまずい。

 お願い、神様!いや、神なんて信じられるか!!世界よ!私たちに味方をしてください!!

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