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聖女は物理特化の冒険者を目指す。  作者: 玄峰 峡。
教会 –チャーチ–
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森から生還

「……で、貴方は誰ですか」


 目を覚ますと、私はチャーチに設けられた私とライアーナちゃんの部屋のベッドで、見知らぬ人の膝の上で寝ていた。その隣ではハロスが呆れたような目で彼を見ている。

 いや、どういう状況??ベッドなんだから枕あるよね!?というか誰!?


「嫌ですよ、僕の名前を忘れちゃ。ミーナが付けてくれたんですから、八咫霧って」


「え?は?八咫霧……!?」


「はい」


 どうやら私の枕になっていた黒髪黒目の彼は八咫霧らしい。

 いや、それだけじゃわかんないわ。何がどうしてどうなってこうなった!?


「ミーナを護りたい、って思って人型を手に入れたんです。本来はあと数千年は時間がかかるはずだったんですけど。僕のミーナへの想いが神様に通じたんですね、僕の愛は本物ですよ」


 いや、神様はお前だろ。

 っていうか、私の所為というかおかげ?で人型になれるようになった、と。愛の力とやらでで数千年かかるはずだったものを、この世界に来てから10数年で何とかした、と。

 色々突っ込みたいところは山々だわ。


「なんか色々気になることはあるけど、取り敢えずありがとう。でも、どうやって中に??」


「お前を助けたって言った」


「ミーナは自分の力で倒しきったんですから、そんな嘘は吐きたく無いって僕は言ったんですよ?」


「じゃあ、なんだ。ミーナを連れ帰らなければ更に面倒な事になるんだぞ。それでも良かったって?」


「少なくとも、ミーナの偉業を隠蔽するよりはマシですよ」


 仲悪いな、お前ら。一気に空気が悪く、というか張り詰めたぞ。

 八咫霧と名乗る人は笑顔のままだし、ハロスはあからさまに機嫌が悪くなっている。

 まさに、一触即発といった感じ。どうしよう……


「はい、喧嘩はダメっていいました」


 あ。ライアーナちゃん居たんだ。

 おはようと言うと、体調を色々聞かれた。恐らく、看病とかやってくれたのはライアーナちゃんがメインだったんだろうな。


「事情は深く聞かないけど、もう無理はやめてよね。心配したんだから」


「ごめんなさい……」


「この話は終わりにして、この人たちを守りたいなら、廊下にいる人たちを説得しないとだよ」


 廊下にいる人たち??

 気になって聞いてみると、どうやら衛兵の人たちやらチャーチに所属している人たちやらがいるらしい。どうやら、私が知らない人間とギルドの人間に連れられて、しかも気を失って帰ってきたのが問題だったっぽい。と言っても2人とも人間じゃ無いけど。


 そりゃそうだよね。外に出たと思ったら気を失って帰ってくるって、かなり不安になるもんね。

 で、しかもチャーチと仲の悪いギルドの人に連れられてきたら疑うのも無理はないか。


「わかった。行ってきます」


 3人に告げて、覚悟を決めてそっとドアを開ける。すると、ドアが私の力を無視して一気に開いた。

 ドアの向こうで皆んな近くに居たみたい。急に開けたから、それに釣られてってことなんだろうな。


 なんだけど、疲れているってのとあまりの勢いに避けられない。

 あ、これ潰されるって思ったけれど動けないままの私を誰かがひょいと後ろに引っ張り上げた。


「たく、気を付けろ」


 私を助けてくれたのは、ハロスだった。今日?寝ていたからわからないけど多分今日、ハロスに助けられるのは2回目だなぁってしみじみ思う。

 視線を感じて、彼の後ろを見ると八咫霧が恨めしそうにハロスを見ている。……まぁ、よくわかんないし、いっか。


「ありがとう」


 私を床に下ろしてから、気を付けろっておでこをデコピンされた。

 初めて受けたけど、かなり痛い。しかもハロスはあんまり力を入れているようじゃなかったから、もし、本気でやられたらどうなんだろう……

 もうやられないようにしないと。


 と、それは置いておいて。


「大丈夫ですか?」


「神子様こそ!この蛮族どもに何もされていませんか!?」


 蛮族って……

 いくら嫌っていたとしても本人の前で言うあたり肝が座っているのか、単に考えていないのか……


「大丈夫です。森でまも…賊に襲われているところを助けて頂いただけです」


 危ない。魔物って言うところだった。

 多分、魔物って言ったら「おのれ魔王め!」とかになる気がする。だったら、山賊の方がまだましか?


「なんと!まさか……お前らの自作自演か!?」


 何故にそうなる!?発想が豊かすぎるぞ!?

 どれだけギルドを悪者にしたいんだよ、お前ら!?そんなに嫌いなのか!?因縁の相手とかそういうことなのか??


「違いますって。もともとギルドにいた私が言うんですから、信じてください」


「しかし……」


「神子の言葉が信用ならないと?」


 そう言った瞬間、ハロスが吹き出したのが聞こえた。おのれ、ハロスめ……

 その後に、ごんっと鈍い音がする。多分、八咫霧がハロスに何かしたんだろうな。ハロスの悶えている息遣いが聞こえるし。


 まぁ、笑うのはわかるよ?自分から神子って言ったんだから、この私が。

 でもさ、それってハロスと八咫霧と、それからギルドを守るためだよ?それを笑うとかさあり得ないよね。


 結論、ハロスに復讐してやる。

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