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聖女は物理特化の冒険者を目指す。  作者: 玄峰 峡。
教会 –チャーチ–
33/60

八咫霧さんが有能過ぎる。

 八咫霧さんが神様だとわかった今、様付けして呼ばないといけませんかね?

 今ですら性能良すぎて、さん付けしだしているけれど。


「ねぇ、


「やめろ。俺様たちのことですら様付けしてねぇだろ」


 何故に私の考えが読めた!?まさか、脳内を読んだのか?


「なんか、察した」


 察したのか!?ハロスも随分と高性能に!

 ……って、そんな話じゃなくて。って、最近よく脱線しているな、私。

 まぁ、気にしないけど!!


 で、だ。

 話は出来ないらしいので、ハロスに通訳をしてもらう。それによると、どうやら様付けは嫌らしい。ついでに言うならば、さん付けも嫌らしい。

 了解です!!


「でも、なんか嫌だから、体の動かし方を教えてもらうだけにしてもいい?本番は、自分でやるからさ」


 変なとこで真面目だなって隣から聞こえた。

 うるさい!私は真面目なんだよ、本当は!!少し、この世界に来てはっちゃけてるだけなんだよ!!


 どうやら、歌についても八咫霧が教えてくれるらしい。

 確かに、声を出すって言うのも筋肉の働きによるものだし、今現在私の身体を自由自在に操っている八咫霧にとっては難しい事ではないのかも?


 とにかく、身体に動きを叩き込んでもらう。歌詞は祈りの奴でいいだろうし、それに音程をつけて歌だって言い張って舞えば良いはず。

 嫌な予感がしないわけでもないけど。むしろかなりしているけど。


 考えても仕方がないし、午前中だけで覚えてやる。午後は、おっさんの言ってたところの様子を見に行きたいしね。

 と、言うわけで。


「早速お願いします!」


 言うが早いか、身体が勝手に動き出す。

 八咫霧がやってくれているとはいえ、気持ちが悪い。無意識に抵抗しようとしている自分がいる。

 なんだか申し訳ない気がする……


 でも、何回かやったら操られることに慣れきた。いや、操られることに慣れたというか、次にどんな風に動かされるのかをなんとなく覚えてきたと言った方が正しいか。

 この調子だったら、覚えられる気がする!!


 ……2時間後。


「どう!?大体は覚えられてない!?」


「荒削りではあるけど、まぁ、良いんじゃね」


「よっしゃ!」


 細かい動きはまだ覚えきれていないけど、大まかな動きと詩はなんとか覚えられた。後は細かいところのみ!もう1、2時間あれば完璧とは言わないまでも、形にはなりそう。


 というかそれより、自分の身体に驚きが止まらない。

 だって前世では運動とか何も出来なかったし、特にダンスなんて観れたものじゃなかった。殺陣は好きでやっていたけれど、そこまでうまくなかった訳だし。


 今世では小さい頃から運動していたっていうのもあるとは思うけど、そうだとしても前世との差よ。ダンスなんて1、2時間ごときじゃここまで上達しなかったわ。

 ……って、そんなことを考えている暇があるなら練習しなくちゃ。

 今日の予定はかなり無理があるように立てちゃった訳だし。


 そこからは更に力を入れて覚えようと頑張った。

 太陽が真上から少しずれた頃、大体1時半か2時くらいには、まぁ良いかな、って妥協できるレベルにはなれた。


 出来ることならもう少し練習したいけれど、そうしていたら森に行けなくなる。

 そうなったら最後、いつ時間が出来るかわからないし、何より、おっさんに教わったところが本物だった場合、かなりヤバい。


 おっさんに探してもらっているのは、魔物の目撃情報が多い場所。

 魔物は、他の世界から時空の歪みを通ってやって来ているらしい。だから、ソレが本物だったらなるべく早く潰すに越したことはない。

 そうしないと、魔王の評判も更に悪くなっちゃうしね。


 そう考えると、もうそろそろ行かないとヤバいよね……


「っと。それじゃあ、大体覚えたし、森に行ってそのままチャーチに行くわ」


「おう。見つけたら、この札貼っとけ。したら、時空の歪み担当の奴に連絡行くから」


「りょーかい!」


 ハロスから札を受け取ってギルドを出る。

 さっきまで、ハロスと2人だけで彼の執務室に居たからドアの外は気にならなかった。だけど、ドアを開けたら、目の前の光景を疑った。


 なんか、パーティみたいなことをしている。

 一体何があったのかとハロスと顔を見合わせて、垂れ幕を読むと……


「「ミーナのお帰り会!?」」


 いや、何ですかソレ。

 確かに一旦は帰ってきたけど、もう出るし。多分暫く帰ってこれないし。

 そんな何年も帰っていないわけじゃないんだよ?行方不明だった訳では……あ、初日あたりは行方不明だったか。

 だとしても、まだ1ヶ月も経っていない。


「……ねぇ、これさ。私がもう出るって言ったら、引き止められるよね」


「だな」


「……また帰ってきた時、多分コレより大騒ぎになるよね」


「だな」


「……執務室の窓から飛び出していいですか」


「……まぁ、仕方ないな」


 ハロスの許可も頂けたので、2人して再び執務室に戻る。

 執務室は2階。まぁ、着地さえ失敗しなければ、大きな怪我をせずに降りられる高さ。


 いや、ギルドが高い建物じゃなくて良かったよ。ギルドは2階までしかないから、何処から飛び出すことも可能。

 なんでも、火事の際に全員が自力で脱出出来るように、高くしなかったらしい。火を相殺出来るスキルを使えない人も沢山所属してはいるからね。


 これでチャーチみたく何十階もの高さだったら、あのパーティから逃れられなかったわ。

 あそこを突っ切れる自信がないもん。


 と、言うわけで執務室の窓から飛び降りて、森の方に走る。

 みんなには申し訳ないけど、行ってきます!

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