表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女は物理特化の冒険者を目指す。  作者: 玄峰 峡。
教会 –チャーチ–
31/60

や、八咫霧さん!?

「じゃあ、えっと……お名前をお伺いしてもいいですか?」


「ルート・シェスターだ」


 乗り気ではないけど、やらなければならなくなってしまった……嫌だ。本当に嫌だ。嫌すぎる。

 でも、周りが乗り気で私にはどうにも出来なかった。

 ハロスも何故か乗り気になって、今回は私の視界に収まる範囲で見物するらしい。アイツのニヤニヤとした笑顔が見える。イラっとする。


 場所は、カイル、もとい勇者になる予定の面倒な子と闘った場所と同じ。

 ルールはスキル使用可、武器数上限なし、防具有り。いわゆる何でもありってヤツですね。


「本当にやらなくちゃダメですかね……」


「何言ってんだい。今やらなくていつ殺るんだい」


 ……今、「やる」の字が絶対に「殺す」だった気がする。

 もしかしてもしかしなくても、何気にメル婆が一番やる気になってない?一体何で??


 メル婆に背中を押されて、渋々前に出る。

 相手はやる気に満ち満ちている。子供相手に、ここまでやる気になる理由はきっとみんなのせいだろうな。


 始まる前に、みんなが私のことを褒めたっていうか、色々言ったんだよ。その中の一言に、癪に触る言葉があったんだと思う。

 私は、面倒だなって思ってそっとその中心から離れたからよく聞こえなかったんだけど、急にこの人が声を荒げたんだよ。

 それで、決闘だ!!って詰め寄られて、周りがそれに乗り気になって根負けした。


 と、まぁそんな話は置いておいて。

 今回の審判はメル婆。ルールもメル婆が決めてくれたし、会場だって酒場の下だから、実質メル婆が用意してくれたようなものだ。

 そして何より、勝たなかったら解ってるかい?と脅されました。

 絶対に勝たなくては!!


「それでは、始め!!」


「っ八咫霧!!」


 合図とともに、ルートさんが飛び出して斬りかかって来る。多分、加速とか身体強化とかのスキルを使ったんだと思う。

 咄嗟に八咫霧に盾の形になってもらって耐えたけど剣が重い。これ、潰れそ……


「って、えぇぇぇぇ!?!?!?」


 いや。え。ちょっと待って。え。は。え!?


 《コール。個体名・八咫霧が自我を確立。進化(仮)を行います。なお、進化先不明》


 急に八咫霧が光り出したかと思ったら、急にそんなお知らせを受けて、どうしろと?

 光のお陰で、ルートさんが後ろに飛び去ってくれてこちらとしては助かったけどさ、だとしても、それは無いよ……


 いや、薄々というか、がっつり勘付いていたけど、見えていないふりをしていたけど!!これはもう、認めるしか無いですね、ハイ。

 八咫霧さん、チート過ぎますよ!?


 というか、個人的には自我というか何というか、そんな様なものはあると思っていたからそこまで驚きはないんだよ。そこに関しては。

 それより進化って何ですか、進化(仮)って!?しかも、進化先不明って一体何なの!?


 いや、百歩譲って、自我があるのは良いよ。

 でもさ、進化するってもはや武器じゃ無いじゃん。生き物じゃん。どちらかというと、魔物とか精霊だとか、そういう系統じゃん。


 《コール。個体名・八咫霧は、魔物でも精霊の類いでも有りません。未知の生態系です》


 んー。

 神王様でもわからない系か!そりゃ私には理解不能だわな!!


 っと、そんな事を考えているうちに、八咫霧の光が収まっていく。どうやら、進化(仮)が終わったらしい。


「見た目は……って、え?」


 いや、この反応は妥当だと思う。

 だって、光が収まったと思ったら黒い蝶が目の前にいるんだよ?それも少し大きめの。だいたい1メートル弱くらいの。

 しかも、よくよく見ると黒い霧の様なもので出来ている。


 これで黒い霧要素無くなっていたら完全に八咫霧だとは思えないな。完全に魔物だと思うな。

 って、進化シーンを見ていなければ八咫霧イコール目の前の蝶だとは思えないわ。


「お前、魔物を飼っているのか!?」


「あ、いや。魔物では無いっぽいんですけど、私にもよくわからないです……」


「とぼけるな!!」


 そうなりますよね!私があなたの立場だったらそうなりますわ。

 ものすごく起こってる。余計にやる気になってるよ、怖い。どうしよう。というか、今の八咫霧さんの機能がよくわからな過ぎて何をして良いかがわからない。

 今まで通りでいいのかな……?


「と、とりあえず、八咫霧?何が出来るの?」


 うおっ!?今日は驚きっぱなしだよ、私!!体力が削られる……

 って、そんな事はどうでもいいや。

 八咫霧が私の腕の周りに集まってきてまとわりつく。そのまましばらくすると形が固定されてきて、籠手と太刀の様な形になった。


 あー、そういうことか。

 前までは1つの武器にしかなれなかったけど、今は2種類の武器になれるよってことか。

 やばい。かなり凄い。八咫霧さん 本当にチートだ。


 もともと、この子だけでかなりの種類の武器になれていたのに、そのたくさんの種類から2つの形を取れるって凄い。今までは剣だけ、盾だけだったのが剣と盾になれるってことでしょ?

 だったら、かなり完璧になれるじゃん。


 しかも、さっきは武器以外の形にもなれていたから……

 うん!八咫霧さんガチでチートだ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ